平成21年4月7日
再生循環

硫酸ピッチの不適正処理の状況(平成19年度)について

 平成19年度に確認された硫酸ピッチの不法投棄又は不適正保管等(以下、「不適正処理」といいます。)の状況について、都道府県及び政令市の協力を得て取りまとめたのでお知らせします。結果の概要は次のとおりです。

(1)
 平成19年度に確認された硫酸ピッチの不適正処理は、件数で3件、量で127本(ドラム缶換算本数。以下同じ。)でした。
(2)
 平成11年度から平成19年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の累計は、件数で276件、量で69,457本であり、うち250件、61,317本については処理済みです。
(3)
硫酸ピッチの不適正処理は、件数、量ともに、減少傾向にあります。
1 硫酸ピッチの不適正処理件数及び不適正処理量
 平成19年度に確認された硫酸ピッチの不適正処理は、件数で3件、量で127本であり、平成18年度(14件、1,709本)に比べ、件数、量ともに減少しました。また、ピーク時の平成15年度と比べ大幅に減少しており、経年的にも大きく減少しています。
(「図表1.硫酸ピッチの不適正処理件数及び不適正処理量」参照)
2 不適正処理の形態
 平成19年度に確認された硫酸ピッチの不適正処理の形態の内訳を見ると、件数では、不適正保管が1件(33%)、不法投棄が2件(67%)、量では、不適正保管が75本 (59%)、不法投棄が52本(41%)でした。
 平成11年度から平成19年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の形態の内訳を見ると、件数では、不適正保管が138件(51%)、不法投棄が126件(46%)、量では、不適正保管が45,305本(65%)、不法投棄が18,283本(26%)でした。
(「図表2.不適正処理の形態」参照)
3 不適正処理実行者の内訳
 平成19年度に確認された硫酸ピッチの不適正処理の実行者は、排出事業者によるものと倉庫等管理者(土地所有者を含む)及び不明がそれぞれ1件ずつでした。また、量では、排出事業者によるものが75本(59%)、倉庫等管理者(土地所有者を含む)が42本(33%)、不明が10本(8%)でした。
 平成11年度から平成19年度までに確認された硫酸ピッチの不適正処理の実行者の内訳を見ると、件数では、排出事業者のみによるものが83件(30%)と最も多く、次いで複数の実行者によるものが56件(20%)でした。また、量では、実行者不明なものが 21,806本(31%)と最も多く、次いで排出事業者のみによるものが15,404本(22%)でした。
(「図表3.不適正処理実行者の内訳」参照)
4 処理状況
 平成11年度から平成19年度までに不適正処理が確認された硫酸ピッチの処理状況を見ると、件数では、すべて処理済みが250件(90%)、一部処理済みが13件(5%)、未処理が13件(5%)でした。また、量で見ると、処理済みが64,287本(93%)、未処理が5,170本(7%)でした。
 処理の実施者の内訳を見ると、件数では、地方公共団体等(代執行)のみによる処理が69件(26%)と最も多く、次いで排出事業者のみによる処理が59件(22%)、倉庫等管理者(土地所有者を含む。)のみによる処理が47件(18%)でした。また、量では、地方公共団体等(代執行)のみによる処理が22,218本(34%)と最も多く、次いで複数の実施者による処理が12,826本(20%)でした。
(「図表4.処理状況」参照)
5 措置命令の発出状況、行政代執行等の実施状況
 平成11年度から平成19年度までに確認された不適正処理事案のうち、措置命令が発出された事案は88件(32%)あり、そのうち行政代執行による処理が行われた事案は75件(27%)で計28,969本でした。
(「図表5.措置命令の発出状況、行政代執行等の実施状況」及び「6.行政指導・行政代執行等の内訳」参照)

※なお、本調査を開始した当初は、硫酸ピッチの不適正事案が急増したため、半年毎に調査・公表しておりましたが、新規に確認された事案も減少していることから、平成18年度調査から、集計期間を一年間としております。

(参考1)硫酸ピッチについて
 硫酸ピッチは、不正軽油(A重油と灯油を混和させて軽油として使用・販売するものであり、軽油引取税を脱税しているものをいいます。)を密造する際に、A重油及び灯油に含まれている識別剤クマリンを除去する目的で、濃硫酸による処理を行う際に発生する、廃硫酸と廃炭化水素油との混合物です。硫酸ピッチは、著しい腐食性や有毒ガス発生など、健康又は生活環境に著しい被害を生ずるおそれがある性状を有します。
 平成16年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正により、硫酸ピッチを指定有害廃棄物に指定して、保管の上限を20キロリットルに制限するなど処理基準を厳格化し、これに違反した場合には直罰の対象としました。  また、軽油の密造及び軽油引取税の脱税に関しても、同年6月1日に改正地方税法が施行され罰則が強化されています(例えば製造承認義務違反の罰金を50万円以下から500万円以下に引き上げ、法人重科の場合3億円以下としました。)。
(参考2)スラッジについて
 硫酸ピッチの不適正処理の状況に加え、スラッジ(不正軽油製造の際、軽油を精製するために添加された活性白土、活性炭等の残滓)の不適正処理の状況についても併せて調査しました。その結果、平成19年度に確認されたスラッジの不適正処理は、件数で5件、量で1,935本であり、平成11年度から平成19年度までに確認されたスラッジの不適正処理の累計は、件数で264件、量で87,420本でした。

添付資料

連絡先
環境省廃棄物・リサイクル対策部適正処理・不法投棄対策室
直通:03-5501-3157
室長:荒木 真一(内線 6881)
室長補佐:大川 仁(内線 6896)
担当:日浦 憲太郎(内線 6883)
担当:中坪 学一(内線 6883)

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