令和3年6月18日
自然環境

生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)及び第3回条約実施補助機関会合(SBI3)の開催結果について

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向けて、条約の実施状況について科学技術的な見地から検討を行う第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)及び条約の構造とプロセスを効率化するための検討を行う第3回条約実施補助機関会合(SBI3)が、令和3年5月3日(月)~6月13日(日)に、オンラインで開催されました。
 SBSTTA24では、ポスト2020生物多様性枠組等について議論され、SBI3では、同枠組みの実施報告、評価及びレビューのための仕組みや、資源動員・資金メカニズム等について議論されました。
 なお、オンラインで開催された今回の会合では、勧告案等の文書の最終決定をせず、今後開催されるSBSTTA24及びSBI3の対面での会合で検討の上、決定される予定です。
 また、議論の結果は、COP15での決定案等に反映される予定です

1.第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)(注1)の概要

(1)会議名称

 日本語...第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA(サブスタ)24)

 英 語...Twenty-fourth meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

(2)開催期間

 令和3年5月3日(月)~6月9日(水)(SBI3とも重複)

(3)形式

 オンライン

(4)会議の概要

 本会合では、締約国代表のほか、国際機関、NGO等の参加により、合計9の勧告案が科学技術的観点から検討されました。主要な議題の結果概要は下記のとおりです。

○ ポスト2020生物多様性枠組(注2)

 ポスト2020生物多様性枠組及びその実施状況をモニタリングするための枠組み(指標を含む、「モニタリング枠組」)並びにこれらを支える科学技術的情報について議論されました。その結果、本枠組みのゴール、ターゲット、関連指標及びベースラインの案に係る各国の見解が、サマリー(「Co-chairs' text」)としてまとめられました。

 この中で、本枠組みは、食料システム、海洋及び沿岸生態系、その他の生態系(森林等)、ワンヘルス・アプローチ、遺伝的多様性、都市とインフラ、土壌の生物多様性、自然再生等の課題にも対処すべきとの指摘がありました。

 また、個別のゴール及びターゲットに関しては、例えばターゲット2について、海洋、陸地及び内陸水のそれぞれ30%を保護対象にすべきといった指摘の一方で、こうした数値を支持するのに十分な情報は揃っていない等の意見も示されました。

 さらに、モニタリング枠組みについて、第16回締約国会議(COP16)までに完成させるべくレビューをしていくことが議論されました。これに加え、ポスト2020生物多様性枠組の実施に当たっては複数の測定指標が設定される見込みであり、こうした指標の使用について助言する暫定的な技術専門家会合の設置が検討されました。

 本枠組みの進捗を評価するためのベースラインについては、主に2011-2020年を基準とする案とともに、産業化以前の時代をベースラインとすべきとの指摘もありました。

○ 海洋及び沿岸地域の生物多様性:生態学的又は生物学的に重要な海域

 「生態学的又は生物学的に重要な海域(EBSA)」の記載内容の修正及び新規記載の方法等の手続きに関する議論があり、引き続き検討される予定です。また、ポスト2020生物多様性枠組において、海洋が十分考慮されるように引き続き議論される予定です。

○ 生物多様性及び健康

 生物多様性及び健康との関連性の主流化を促進し、生物多様性を含むワン・ヘルスへの移行に向けた取組を加速することを目的とするための世界行動計画案が示され、ポスト2020生物多様性枠組の実施の促進を目指して各締約国に同計画の実施を奨励する等の案が議論されました。世界行動計画案については意見が多数出たため、引き続き議論される予定です。

【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/meetings/SBSTTA-24 

(注1)科学技術助言補助機関(SBSTTA: Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice)

 ・ 生物多様性条約第25条に基づいて設立された。

 ・ 条約の実施状況について科学技術的な見地から締約国会議(COP)及び他の補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

(注2)ポスト2020生物多様性枠組

 ・ COP15において採択される予定である、2021年以降の新たな生物多様性の世界目標。

2.第3回条約実施補助機関会合(SBI3)(注3)の概要

(1)会議名称

 日本語...第3回条約実施補助機関会合(SBI3)

 英 語...Third meeting of the Subsidiary Body on Implementation

(2)開催期間

 令和3年5月16日(日)~6月13日(日)(SBSTTA24とも重複)

(3)形式

 オンライン

(4)会議の概要

 本会合では、締約国代表の他、国際機関、NGO等の参加により、合計16の勧告案が検討されました。主要な議題の結果概要は下記のとおりです。

○ ポスト2020生物多様性枠組の議論のプロセス

 第3回ポスト2020生物多様性枠組公開作業部会(OEWG3)は可能な限り対面開催すべきであるものの、各締約国の代表団の渡航が難しい場合は、オンラインかハイブリッド形式の会合を提案する等、今後の関連会議の進め方に関して、意見が交わされました。また、COP16以降のCOPの開催周期は、これまでどおりの2年毎の周期が維持される案が示されました。なお、OEWG3については、オンライン形式で8月23日~9月3日に開催されることが、SBSTTA24/SBI3会議期間中(6月4日)に条約事務局から通知されました。

○ 実施報告、評価及びレビューのための仕組み

 新たな枠組みの下における計画策定、報告、評価及びレビューについては、愛知目標の教訓を踏まえ、各国の取組の実施を強化する観点から今後の仕組みが議論されました。計画や報告については、各国が共通様式を用いて作成すること等を盛り込んだ勧告案が検討されました。評価とレビューの仕組みとして、グローバルストックテイクと呼ばれる世界全体の進捗をレビューする制度を創設するべく、具体的な実施方針が議論されました。さらに、政府の取組だけにとどまらず、企業や自治体といった非国家主体による自然環境への自主的な貢献も評価していくことが要素として盛り込まれ、引き続き議論される予定です。

○ 資源動員及び資金メカニズム

 ポスト2020生物多様性枠組における資源動員関連ターゲット及び資源動員戦略の更新、並びに生物多様性条約の資金メカニズムである地球環境ファシリティー(Global Environment Facility: GEF)の資金メカニズムとしての効率性を評価する責務内容等について議論されました。その結果、資源動員については各国の見解がサマリー(「Co-chairs' text」)としてまとめられ、引き続き議論される予定です。

○ 名古屋議定書の地球的規模の多数国間利益配分メカニズム(第10条)

 遺伝資源の利用に係る利益配分に関し、名古屋議定書第10条に関連規定がある「地球的規模の多数国間利益配分メカニズム」等の活用について検討する専門家会合(AHTEG)の設置案等について議論され、引き続き議論される予定です。

  

【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/meetings/SBI-03 

(注3)条約実施補助機関(SBI: Subsidiary Body on Implementation)

・ CBD-COP決定Ⅻ/26により、条約の構造とプロセスを効率化するために設立された。

・ 生物多様性条約第23条第4項の規定に従い、条約の実施を常に評価する上で締約国を支援することを目的として、生物多様性条約、並びにカルタヘナ議定書及び名古屋議定書の実施状況について科学技術的な見地以外の観点からCOP及び補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8275
  • 室長中澤圭一(内線 6480)
  • 室長補佐大澤隆文(内線 6484)
  • 専門官竹原真理(内線 6663)
  • 係長友居洋暁(内線 6482)
  • 係長松﨑花(内線 6489)