令和2年8月6日
再生循環

特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(令和元年)について

 環境省及び経済産業省では、毎年「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(以下「バーゼル法」という。)の施行状況について集計を行っております。今般、平成31年1月から令和元年12月までの状況について取りまとめましたので公表致します。
 平成31年1月から令和元年12月までの間に、バーゼル法に規定する手続を経て実際に我が国から輸出された特定有害廃棄物等の総量は、103,528トン(平成30年は215,890トン)であり、我が国に輸入された特定有害廃棄物等の総量は、6,685トン(平成30年は27,910トン)でした。

1 制度の概要

 バーゼル法に基づく特定有害廃棄物等を輸出しようとする者は、同法第4条第1項の規定に基づき「外国為替及び外国貿易法」(以下「外為法」という。)第48条第3項の規定による経済産業大臣の輸出承認を受ける必要があります。環境大臣は、輸出承認に先立ち、バーゼル法第4条第3項の規定に基づき環境の汚染を防止するために必要な措置が講じられているかどうかの確認を行っています(注1)。また、輸出された特定有害廃棄物等の運搬を行う場合は、バーゼル法第6条第1項の規定に基づき、輸出移動書類を携帯する必要があります。

一方、特定有害廃棄物等を輸入しようとする者は、バーゼル法第8条第1項の規定に基づき外為法第52条の規定による経済産業大臣の輸入承認を受ける必要があります。その際に、環境大臣は、バーゼル法第8条第2項の規定に基づき環境の汚染を防止するために必要がある場合は意見を述べることができることとなっています。また、輸入された特定有害廃棄物等の運搬又は処分を行う場合は、バーゼル法第10条第1項の規定に基づき、輸入移動書類を携帯する必要があります。

 これらバーゼル法の施行状況については、毎年取りまとめて公表することとしており、今般、平成31年1月から令和元年12月の施行状況について取りまとめました。

2 平成31年及び令和元年における特定有害廃棄物等の輸出の状況

(1)特定有害廃棄物等の輸出において、移動書類を交付した案件の主な品目は、石炭灰、錫鉛くずで、金属回収など再生利用を目的とするものでした。また、主な輸出先は、韓国、ベルギーでした。

(2)輸出の状況について、輸出手続の段階別に整理すると以下のとおりです。

 ① 輸出承認の申請を受け、環境省から輸出先国に対する事前通告を行ったものは33件で、その輸出予定量は、562,666トン(平成30年は、14件、285,570トン)でした。

② 相手国からの輸入同意の回答を得て、経済産業大臣が輸出の承認を行ったものは30件(注2)で、その総量は335,716トン(平成30年は、16件、289,600トン)でした。

③ 輸出の承認を得たもののうち、経済産業大臣が輸出移動書類の交付をしたものは、172件(注3、注4)で、その総量は、103,528トン(平成30年は、626件、215,890トン)でした。

(3)バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸出量(輸出移動書類に記入された量)及び輸出の件数(輸出移動書類の交付件数)の推移は別添1のとおりです。

3 令和元年における特定有害廃棄物等の輸入の状況

(1)特定有害廃棄物等の輸入において、移動書類を交付した案件の主な品目は、電子部品スクラップ、電池スクラップ(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等)、金属含有スラッジで、金属回収など再生利用を目的とするものでした。また、主な輸入先は、インドネシア、フィリピン、タイでした。

(2)輸入の状況について、輸入手続の段階別に整理すると以下のとおりです。

 ① 相手国から我が国への輸出についての事前通告を受領したものは171件で、その輸入予定量は113,641トン(平成30年は、134件、129,778トン)でした。

 ② 輸入者からの輸入承認の申請により経済産業大臣が輸入承認を行い、環境省から相手国に対し輸入同意の回答を行ったものは149件(注5)で、その総量は、112,799トン(平成30年は、125件、109,296トン)でした。

 ③ 輸入の承認を得たもののうち、経済産業大臣が輸入移動書類を交付したものは312件(注3、注6、注7)で、その総量は、6,685トン(注7)(平成30年は、858件(注7)、27,910トン(注7))でした。

(3)バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸入量(輸入移動書類に記入された量)及び輸入の件数(輸入移動書類の交付件数)の推移は別添2のとおりです。

4 令和元年におけるバーゼル法に基づく行政処分等の状況

 バーゼル法第15条に基づく報告徴収及び第14条に基づく措置命令の実施件数は次のとおりでした。

○ 報告徴収件数 0件(0件)

○ 措置命令発出件数 0件(0件)

※( )内は、平成30年実績

なお、輸出先国からバーゼル条約に基づく不法取引通報があった案件や、税関から不法輸出入の疑義貨物に係る通報があった案件等については、環境省及び経済産業省は税関と連携の上、必要に応じて貨物確認や輸出入業者へのヒアリング等を行い、法令に違反していることが判明した場合には法令に基づく処分や行政指導を行う等厳正に対処することとしています。

注1: 「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律施行規則」第1条で定める地域を仕向地とする同施行規則第2条で定める特定有害廃棄物等の輸出の場合に限ります。

注2: 平成30年以前に事前通告を行ったものを含みます。

注3: 一定期間の輸出入に関して一括して事前通告又は輸出入の承認がなさ れたものであって、複数回に分けて輸出入される場合にあっては、通告 及び輸出入承認の件数と移動書類の交付の件数とは一致しません。

注4: 平成30年に輸出承認を行ったものを含みます。

注5: 平成30年以前に事前通告を受領したものを含みます。

注6: 平成30年に輸入承認を行ったものを含みます。

注7: 一部、輸入通関時の都度、輸入承認証の発給を行っていた台湾からの輸入承認件数及び数量を含みます。

添付資料

連絡先

環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5501-3157
  • 課長神谷 洋一(内線 6871)
  • 課長補佐山王 静香(内線 7852)
  • 担当粟野 拡明(内線 6890)