平成30年5月9日
自然環境

中国からの新たなトキの提供に関する合意について ~「トキ保護協力の継続実施に関する覚書」の署名~

5月9日(水)の日中首脳会談で安倍総理と李克強総理が中国からのトキの提供に合意し、首脳会談終了後、両総理の立ち会いのもと、中川雅治環境大臣と王毅国務委員兼外交部長との間で、「トキ保護協力の継続実施に関する覚書」の署名が行われました。これにより、日中双方は、トキ保護協力を引き続き実施することとし、中国側が新たに2羽のトキの個体を提供することとなります。
なお、具体的なトキの提供時期については、提供個体の確定、検疫条件、気候条件等を勘案して、中国側当局と今後協議を進める予定です。

1.背景

日中両国でのトキ保護協力については、30年以上にわたる長い歴史を有しています。

我が国の野生のトキは一度絶滅しましたが、中国から贈呈及び供与された5羽のトキにより、現在、佐渡島の野生下に290羽程度が生息するほどに回復してきました。

一方で、トキの遺伝的多様性の確保の観点から、これまでも機会あるごとに中国に対して新たなトキの提供の要請を継続して行ってきたところです。

2.覚書の署名について

(1)平成30年5月9日、迎賓館にて開催された日中首脳会談において、安倍晋三総理と李克強総理が日本にトキを提供することに合意しました。

(2)李克強総理の訪日に合わせて、トキの保護を所管する環境省と中国国家林業・草原局の間で調整を進めてきたところであり、首脳会談の終了後、2羽のトキの提供についての内容を含む「トキ保護協力の継続実施に関する覚書」の署名を中川雅治環境大臣と王毅国務委員兼外交部長との間で行いました。

3.覚書の概要

(1)双方は、互恵と協力の原則にそって、トキ保護協力を引き続き実施する。

(2)中国側は日本側に2羽のトキを提供する。

(3)日本側は、中国の野生動物及びその生息地保護を支持し、関連する協力を行う。

(4)双方は、関連する国際条約及び両国各自の国内法律、法規と規定を遵守する。

(5)双方は、(2)及び(3)を実施するため、技術協議書を作成し、協力の具体的内容を明確化する。

4.今後の見通し

今後、中国側と技術協議書の協議を進める予定です。また、トキの提供時期についても、提供個体の確定、検疫条件、気候条件等を勘案して、中国側当局と今後協議を進める予定です。

(参考)トキ繁殖に関する日中協力の経緯

1985~89年

中国のトキ「ホアホア」の借り受け(4繁殖期)

日本のトキ「キン(雌)」とペアリングするも成功せず。返還。

1990~92年

日本のトキ「ミドリ」の婿入り(3繁殖期)

ミドリ(雄)を北京動物園に送り中国のトキ「ヤオヤオ(雌)」とペアリングするも成功せず。返還。

1994~95年

中国のつがいの借り受け(1繁殖期)

ロンロン(雄)、フォンフォン(雌)のペアを借り受けるも成功せず。飼育中ロンロンが急死、フォンフォンは中国に返還。

1998~99年

中国のつがい「友友(ヨウヨウ)洋洋(ヤンヤン)」の贈呈

国賓として来日した江沢民 中国国家主席が天皇陛下に贈呈を表明。

99年1月佐渡トキ保護センターに到着。「優優」誕生

2000年

中国のトキ「美美(メイメイ)」の提供

朱鎔基総理が森総理との首脳会談で、「優優」のパートナーを日本に供与する旨表明。

2003年

「日中共同トキ保護計画」に署名

小池環境大臣と周生賢中国国家林業局長により署名

2007年

中国のトキ「華陽(ホワヤン)」、「溢水(イーシュイ)」の提供

4月に来日した温家宝総理が安倍総理との日中首脳会談の場で2羽のトキの提供に同意。

2010年

「日中共同トキ保護計画」に署名(更新)

小沢環境大臣と賈治邦中国国家林業局長により署名

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
室長:番匠 克二(6677)
専門官:小野 亮(6684)
直通:03-5521-8353
代表:03-3581-3351