平成30年3月23日
総合政策

神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、23日、「神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画環境影響評価準備書」(株式会社神戸製鋼所)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、兵庫県神戸市の神戸製鉄所構内において、平成29年に休止した高炉跡地に石炭を燃料とする総出力130万kWの火力発電所を新設するものである。
 本意見では、事業者である神戸製鋼所等に対し、(1)2030年度及びそれ以降に向けたCO2排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討すること、(2)とりわけ、2030年度のベンチマーク指標の目標との関係では、具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではなく、目標達成に向けた具体的な方策、行程の確立及びCO2排出削減に向けた不断の努力が必要不可欠であること、(3)本事業で発電した電力は関西電力に全量供給されるところ、売電先である関西電力においても、高度化法の遵守及び自主的枠組み全体の目標達成に取り組むことを通じて、確実にCO2排出削減に取り組む必要があること、(4)神戸市との環境保全協定を遵守することは当然として、大気汚染物質の排出量を最大限抑える不断の姿勢と努力が必要であること、(5)製品検査データの改ざん問題を踏まえ、今後正確な情報提供と誠意ある説明に努め、社会的信頼の回復に積極的に取り組む必要があること等を述べた上で、国内外の状況を踏まえた上でなお本事業を実施する場合には、(1)グループ会社等を含む事業者全体が所有及び計画している火力発電所の適切な運用などによりベンチマーク指標目標を確実に達成するとともに、2030年以降に向けて、更なるCO2排出削減を実施すること、(2)関係地方公共団体の意見を十分勘案し、地域住民等の理解、納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行うこと、(3)現在の環境保全協定の内容について、本事業計画を踏まえ、実態に即して積極的に見直すとともに、その遵守のため、大気汚染物質排出削減対策を講ずること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kW以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができる。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者である株式会社神戸製鋼所には、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続と環境保全の実施が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全措置の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

・名称      神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画

・事業者     株式会社神戸製鋼所

・計画位置    兵庫県神戸市

・燃料      石炭

・発電方式    汽力

・出力      130万kW(65万kW×2基)

・工事開始時期  平成30年度(予定)

・運転開始時期  新設1号機 平成33年度(予定)

         新設2号機 平成34年度(予定)

3.環境大臣意見

・意見の概要

  別紙1参照。

・意見

  別紙2参照。

 

(参考)環境影響評価に係る手続

【配慮書の手続】

・縦覧         平成26年12月16日~平成27年1月23日(住民意見87件

・兵庫県知事意見提出  平成27年2月20日

・環境大臣意見提出   平成27年2月20日

・経済産業大臣勧告   平成27年3月9日

【方法書の手続】

・縦覧         平成27年7月1日~平成27年8月3日(住民意見166件

・兵庫県知事意見提出  平成27年11月24日

・経済産業大臣勧告   平成27年12月4日

【準備書の手続】

・縦覧         平成29年7月11日~平成29年8月10日(住民意見1,173件

・兵庫県知事意見提出  平成30年3月16日

・環境大臣意見提出   平成30年3月23日

※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省大臣官房環境影響評価課環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
担当   谷本昌敏(内6253)