平成30年1月19日
自然環境

モニタリングサイト1000サンゴ礁調査の平成29年度調査結果(速報)について

 環境省では、平成16年度より重要生態系監視地域モニタリング推進事業(以下「モニタリングサイト1000」という。)サンゴ礁調査を実施しており、このたび平成29年度の調査結果(速報)を取りまとめましたのでお知らせいたします。
 その結果、平均サンゴ被度は昨年度と同程度であり、10ポイント以上増減した調査サイトはありませんでした。なお、石西礁湖及び西表島と周辺離島では、昨年度に引き続き、夏季の高水温が主な要因と考えられる白化現象により80%以上の高い白化率を示しました。

1.調査内容

 モニタリングサイト1000サンゴ礁調査は、全国に24のモニタリングサイトを設置し、平成16年度から毎年モニタリングを行っています。平成29年度の調査内容は、次のとおりです。

(1) 調査地点

 全国に設置した24のモニタリングサイト(添付資料1)のうち、平成29年度は、トカラ列島の小宝島周辺および大東諸島(遠隔地のため5年に1度調査)を除く、計22サイトで調査を実施しました。

(2) 調査期間 

 平成29年9月~12月(一部サイトは6月および8月に調査を実施)

(3) 調査方法

 調査地点毎におよそ50m四方の調査対象区域を設定し、スポットチェック法(15分間のスノーケリングを行い、サンゴ被度※1、白化率※2、死亡率※3等を目視観察)により調査を行いました。調査回数は調査期間中に各地点1回となります。なお、一般的にスポットチェック法によるサンゴ被度の誤差は10ポイント程度とされています。

※1 サンゴ被度

 調査地の海底に占める生きたサンゴ面積の割合。

※2 サンゴ白化率

 少しでも白化現象が見られる群体を対象とし、白化前まで生きていたと思われるサンゴ全体(白化により死 亡したサンゴ、白化したサンゴ、生きているサンゴの合計値)に占める、白化したサンゴ及び白化により死亡したサンゴの割合。

※3 サンゴ死亡率

 白化前まで生きていたと思われるサンゴ全体(白化により死亡したサンゴ、白化したサンゴ、生きているサンゴの合計値)に占める、白化により死亡したサンゴの割合。

2.調査結果

 平成29年度調査における各サイトの平均サンゴ被度、平均白化率、平均死亡率は、添付資料2の図表のとおりです。なお、下記の概況に関する記載は、添付資料2の表1に記載されている数値をもとにしていますが、小数点以下を四捨五入した数値としています。

(1) 平均サンゴ被度 

  • 平均サンゴ被度は、平成28年度調査結果と同程度であり、10ポイント以上の増減があったサイトはありませんでした。
  • 国内最大のサンゴ礁域である石西礁湖では、2004年の調査開始時には平均サンゴ被度が50%を記録していましたが、今年度は昨年度に引き続き20%(調査開始時の4割)の値を示しました。

(2) 平均サンゴ白化率

  • 奄美群島および沖縄島では、夏季の高水温が主な要因と考えられる白化現象により、昨年度より10ポイント以上高い30%前後の平均サンゴ白化率を示しました。
  • 石西礁湖及び西表島と周辺離島では、昨年度に引き続き80%以上の高い平均サンゴ白化率を示しました。
  • 上記以外のサイトでは、顕著な白化現象は確認されませんでした。

(3) 平均サンゴ死亡率

  • 昨年度より高い白化率を示した奄美群島では0.7%、沖縄島では5%程度の平均サンゴ死亡率を示しましたが、サンゴ類の大規模な死亡は確認されませんでした。
  • 石西礁湖及び西表島と周辺離島では、7~11%の平均サンゴ死亡率を示しましたが、サンゴ類の大規模な死亡は確認されませんでした。

(4) その他(かく乱要因)

  • 昨年度から今年度にかけて高い白化率を示した瀬戸内周辺(奄美大島)、宮古島周辺および石西礁湖の水温データは、添付資料3のとおりです。いずれの調査サイトでも、今年度30℃を超える水温を記録しました。なお、いずれのデータも、現地に設置した計測機器によって得られたものです。
  • 高水温による白化現象のほかに、台風による破壊および土砂流出等によるサンゴへの影響が屋久島・種子島周辺、瀬戸内周辺(奄美大島)、石垣島、石西礁湖、父島周辺、串本周辺および四国南西岸で確認されました。
  • 瀬戸内周辺(奄美大島)、宮古島周辺および串本周辺では、冬季の低水温及び干出時の寒波によるサンゴ類の白化現象や死亡が観察されました。
  • オニヒトデによる食害は串本周辺、四国南西岸および壱岐周辺等の一部で、サンゴ食巻貝による食害は瀬戸内周辺(奄美大島)、宮古島周辺、串本周辺および四国南西岸の広い範囲で観察されましたが、それぞれの地域における被害は小さなものでした。
  • 壱岐周辺では、今年度もガンガゼによる食害が確認されました。

3.今後の対応等について

  • 今年度の報告書は、平成30年3月までに取りまとめた上、下記webサイトで公表予定です。

http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/reports/index.html

  • 石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖については、環境省那覇自然環境事務所においても調査を実施しています。調査結果の詳細につきましては、同調査の報道発表資料(「西表石垣国立公園 石西礁湖のサンゴ白化現象の調査結果について」、平成30年1月19日発表)をご覧ください。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性センター
TEL 0555-72-6033
センター長     川越 久史
生態系監視科長   最上 祥成
担当        串田 卓弥

環境省自然環境局自然環境計画課
TEL 03-5521-8274(直通)
   03-3581-3351(代表)
課長        奥田 直久(内線6430)
保全再生調整官   岡野 隆宏(内線6435)
サンゴ礁保全専門官 大澤 隆文(内線6492)