※この記事は、2024年12月7日に開催された第12回グッドライフアワード表彰式における環境大臣賞受賞プレゼンテーションに基づいて作成されています。
岐阜県可児市で荒廃した里山を再生する
岐阜県可児市から参りました、里山クラブ可児の柿元と申します。岐阜県は、どこにあるか分からなくなりがちな都道府県ランキング1位、広さは全国7位で、県の約8割を森林が占めています。
私たち「里山クラブ可児」の「可児(かに)」は、難読漢字の地名です。可能性の「可」、子どもの「児」で、「可能性の子」という意味が込められています。そして、私たちの活動場所が、「我田の森(わがたのもり)」です。
地図で見ると、岐阜県は日本のど真ん中にあり、可児市は岐阜県の南で愛知県と隣接しています。里山クラブ可児は、名古屋市から近い場所で活動しているグループです。
我田の森は、13ヘクタールの広さがあります。東京ドームで言うと、2.8個分ぐらいです。ここには、管理棟、田んぼビオトープ、オーガニックな農作物を作る畑、くつろげるデッキ、山の頂には眺めの良い大岩があります。
我田の森は、私有地です。13名の地権者がおり、私たちが活動を始める前は荒廃した森でした。そこで、可児市に間に入っていただいて、私たちボランティアグループの里山クラブ可児が、荒廃した土地を管理しながら里山を有効活用していくという委託を受けました。
土地の賃貸契約はありません。可児市には、私どもに資材などの補助をしていただいたり、地権者の方々に税の減免措置をしていただいたり、三者でwin-winの関係を持って1つの共有地(コモンズ)を形成しています。
私たちは、森林整備や設備製作、田んぼビオトープでのお米作り、畑でのオーガニック野菜作りなどを行っています。そして、そのような活動を活かした環境教育として、企業の社会貢献活動の場、大学の授業や実習の場、森のようちえんの活動の場、不登校児や家族のサポートなどを提供しています。
収入源は、個人の会員からの会費と、助成金・寄付で賄っています。現在、会員が徐々に増えてまいりまして、個人会員が96名、協賛団体が8団体です。活動日が第3・第4日曜日、毎週水曜日となっています。会費は1000円で、お金を払ってボランティア活動しています。仲間たちは、4歳から80歳以上まで幅広く、森に集って一緒に活動しています。
里山再生を通じて地域の活動が広がる
こちらの写真は、20年前の里山の姿です。実は、昭和初期ぐらいまでは棚田だったのですが、このように足も踏み入れられない状態なっていました。
現在は、このような姿になりました。
棚田の再生活動は大変でした。ステンレスのワイヤーの中に石を1個ずつはめ込んで、その距離は3,000mにも及びました。
現在、棚田のあった場所は田んぼビオトープになっており、1年中、水が張られています。生物多様性の保全を目指した田んぼビオトープとして、無農薬・無耕作でお米作りを行っています。
田んぼで取れた稲の種から苗を育てています。夏は草取りが大変ですが、女性の皆様も大活躍です。
このように、田植え、稲刈り、餅つき、自然観察など、幅広く活動を行っています。
こちらは、里山整備、オーガニック野菜作りの様子です。
パートナーシップによって里山が発展する
幼稚園とのパートナーシップとしては、一般社団法人こどもの庭との共同活動として、森のようちえんの自然育児の場を提供しています。
大学とのパートナーシップとしては、名城大学の都市情報学部が現地実習として森を活用しています。
不登校支援団体とのパートナーシップ活動も展開しています。
行政とのパートナーシップでは、可児市、岐阜県と連携して、様々なチャネルで活動しています。
広報活動としては、24年間にわたって「里山たより」を発行し続けています。YouTubeにも四季折々の活動を紹介していますので、是非ご覧いただきたいと思います。
皆様、里山でお会いいたしましょう。
環境大臣政務官を務める五十嵐清氏から表彰される里山クラブ可児の柿元章吾氏と加治木寛之氏