地球環境研究総合推進費 中間評価(戦略プロジェクト) 評価結果
実施期間 課  題 テーマリーダー
(平成16年度現在)
総合評価
(A~E)
研究成果の
科学的価値
研究成果の社会・
経済・行政的価値
研究成果の波及効果
及び発展性
研究代表者の
マネジメント
研究体制に
ついて
 
ヒアリング時の
説明の仕方
高く評価できる
サブテーマ番号
低い評価となる
サブテーマ番号
H14戦略
(14~18)
*中間評価*
(1回目)
S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究 筑波大学
(及川 武久)
A a a a b b a    
(研究概要)
 京都議定書第2約束期間以降を見据えた地球温暖化防止対策の検討に資するため、大気中の温室効果ガス濃度レベルを設定するのに必要な科学的知見を整備する必要がある。本プロジェクトは、アジア地域(シベリア含む)の生態系による温室効果ガスの排出・吸収実態を収支として明らかにし、その予測手法を開発することにより、科学的知見に基づく中長期的な炭素管理手法の確立に寄与することを目的とする。
 具体的には、①AsiaFluxの中核研究としてこの地域に適した陸域生態系炭素収支モデルの開発②大気観測に基づき科学的に信頼できる炭素収支推定方法の開発③陸域炭素収支を管理する政策オプションの提示を行う。従来、個々の研究者が個別の地域を対象に、個別の目的と手法で実施してきたフラックス研究を、統一的な目的と手法を用い一つのプロジェクトとして統合的に実施する初の試みであり、新たな成果が期待される。また、中長期的な炭素管理政策に係る自然科学的・社会科学的検討は国際的にも新規性が高い。
(評価コメント)
※①多様な評価コメントの中に、被評価者による今後の研究にとって有益な情報が含まれているであろうこと、②今後研究成果を科学や社会へ積極的に還元していく上で、研究に対する外からの見方や受け止め方の多様性を、被評価者に理解していただくことが有用であろうことを勘案し、右の評価ランクの結果と整合的でないコメントが含まれる場合もあることを承知の上で、各評価者からの多様なコメントを可能な範囲で列挙した。
 研究課題代表者は、評価ランクを評価者全体の評価結果として捉えた上で、全ての評価コメントの反映を目指すのではなく、各コメントの中で、今後活かすべき重要な指摘や示唆が何かを吟味・判断の上、今後の研究計画の見直し等に活用して欲しい。
◆ボトムアップアプローチの研究成果がトップダウンアプローチの研究にどのように生かされるのか具体的な方法がないため、将来、優れた研究に発展していくのかどうか判断できない。
◆極めて重要なテーマについて全体としてよく計画され、よく研究を推進している。将来の陸域生態系の保全のためには、より精度の高いリモートセンシング技術や分光センサー等による地力の広域モニタリングシステムの研究・開発・普及も望まれる。
◆UNFCCC、特に京都議定書の観点から見て非常に重要な課題である。困難な観測システムの構築などをはじめ各サブ課題がほぼ順調に進展しており、多くの場合今後に大きな期待ができると思われる。サブ課題では、「予測モデル開発」について、若干の疑問を呈したが、検討されたい。
◆全体の研究グループの構成は適正である。特に、データシステムが大枠をカバーしているところは高く評価したい。メソスケールの現象へのトップダウンアプローチと一緒にしていることがこのプロジェクトの特徴であるが、ボトムアップグループに予算・人的資源をかけすぎている感がある。
また、データベースと衛星データ利用に関する研究のグループ分けに違和感を感じた。行政的な目的を持った研究であるから、テーマⅢをより強化することを考えたほうが良いかも知れない。GCPに対しても大きな貢献をすることが期待される。
◆テーマⅠ、Ⅱ、Ⅲから得られた結果をテーマⅣで有機的に統合化するという課題構成手法は理屈にも叶っており、ごく一般的に用いられているものである。しかし、それぞれの課題担当者は独自の見解と方法論に基づいて収集したデータの統合化を図り、科学的、社会・経済・行政的価値を生み出すことがいかに難しいかは、過去の多くのプロジェクトリーダー達が感じているところであろう。
当プロジェクト研究においても、プロジェクト全体をコントロールすべき観測ネットワークの最適配置がテーマⅡで14年度成果として示された迄は良かったが、いざ動き出してみると課題担当者が「我が道を行く」的な個別研究となってしまい、地域間での共通モニタリング項目の欠落や同一(或いは、それに近い)調査地点での情報交換・問題点整理が少な過ぎるように見えてならない。各種研究資源から考えても、様々な方法論を用いてアジア陸域生態系を網羅的に調べあげることは不可能なため、代表的地域からの結果を地球規模にまでスケールアップすることは当前のこととして、各課題担当者とも当プロジェクトのアウトプットをテーマⅣにお任せのまま個別研究成果のみに走ることのないよう努めるべきである。
◆4つのサブテーマは「21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究」という大テーマを推進するのに必要な構成になっており、このまま継続を期待したい。ただ、研究そのものの評価とは関係ないかもしれないが、評価用資料の研究概要、特に「研究の内容・成果」以下の内容が羅列的で、全体テーマが掲げる目標に具体的にどこまで近づいたかがわかりにくい。全体テーマの中で各サブテーマがどういう位置づけにあるのか、また全体テーマの目標にサブテーマの個々の成果をどう貢献するかを十分に意識しながら表現されているとは言い難い。個々の成果をプロジェクトリーダーの戦略に基づいて整理し直し、論理的でわかりやすく表現することは、プロジェクトの現状と問題点を明確にするためにも、国民一般の理解を得る意味でも重要だと思う。改善を期待したい。
◆所期の成果があがっており、このまま継続すべきである。台風18号の被害についての対策を急ぐことが望まれる。
◆アジア陸域生態系全体をカバーする研究とはなっていない。
◆1)テーマⅢは、やや具体性に欠ける。テーマⅢはテーマⅠ、Ⅱの成果をまたずに独自で進められる研究課題を明確にするべきである。
2)テーマⅣは成果が具体性に欠ける。
3)テーマⅣは、テーマⅠの結果をパラメタライズし、テーマⅢにもっていくように目標・目的の整理をするべきである。
◆研究対象地域が、亜寒帯から熱帯まで、そして対象生態系が森林、草地、耕地と幅広く設定されているが、それらの結果を統合して、「アジアの陸域生態系の炭素収支の変動予測…」につなげる方法論が明確でない。「何をどの程度のスケールと精度で予測するか」という目標を定め、それに沿って研究を展開すべきであり、計画全体の見直しを含めた検討が必要のように思われる。
◆・陸域における炭素収支のデータベースの構築ならびに解析は今後の温暖化対策の要となる知見であり、GCP(グローバル・カーボン・プロジェクト)の観点からも本プロジェクトの果たす役割は極めて重要である。
・本プロジェクトのカバーする範囲が極めて広く、かつ広範な専門家集団が参画しているため、現状は予備的・模索的かつ発散的に進行している印象を受けるが、今後は枝葉末節的な事象の切り捨て、重要課題への研究資源集中投入ならびにサブテーマの集約等のマネジメントが望まれる。
◆国際的な状況の説明もあり、適当であった。(国際比較が主要)
◆実測値、モデル、リモートセンシングデータのギャップの詰めに一層の成果をあげるよう期待する。
◆ヒアリング前に同じ。但し、モデル開発に関する疑問は解消した。
◆テーマ3の対策モデルの作成が、本プロジェクト全体のアウトカムの目玉だと思うので、それと他のテーマ、サブテーマの関係をわかり易く説明してほしい。
◆全体として良く行われているが、サブテーマ間の連携に問題が有る。連携がうまくいかないと、全体の目的が達成できない恐れがある。
◆・現状から最終的な成果をまとめていくためのロードマップと見通しが必要と思われる。
・問題点の抽出とそれを踏まえた上での全体のまとめを提供することが重要。
◆テーマⅠ、Ⅱ、Ⅲの連携がうまく行くことを強く期待する。

地球環境研究総合推進費 中間評価(戦略プロジェクト) 評価結果
実施期間 課  題 サブ テーマリーダー
(平成16年度現在)
総合評価
(A~E)
研究成果の
科学的価値
研究成果の社会・
経済・行政的価値
研究成果の波及効果
及び発展性
研究代表者の
マネジメント
研究体制に
ついて
 
ヒアリング時の
説明の仕方
高く評価できる
サブテーマ番号
低い評価となる
サブテーマ番号
H14戦略
(14~18)
*中間評価*
(1回目)
S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究

Ⅰ.ボトムアップ(微気象・生態学的)アプローチによる陸域生態系の炭素収支解析に関する研究
独立行政法人産業技術
総合研究所
(山本 晋)
A a b b b b a (3)  
(評価コメント)
※①多様な評価コメントの中に、被評価者による今後の研究にとって有益な情報が含まれているであろうこと、②今後研究成果を科学や社会へ積極的に還元していく上で、研究に対する外からの見方や受け止め方の多様性を、被評価者に理解していただくことが有用であろうことを勘案し、右の評価ランクの結果と整合的でないコメントが含まれる場合もあることを承知の上で、各評価者からの多様なコメントを可能な範囲で列挙した。
 研究課題代表者は、評価ランクを評価者全体の評価結果として捉えた上で、全ての評価コメントの反映を目指すのではなく、各コメントの中で、今後活かすべき重要な指摘や示唆が何かを吟味・判断の上、今後の研究計画の見直し等に活用して欲しい。
◆観測結果のデータベース化が重要になると思われるが、研究計画からはどのように役立つデータベースになるかを読み取ることができない。
◆有意義な研究と思う。ただ、フィールドによって濃さが違うのはどういう訳か。
◆土壌圏における炭素収支はとくに気候や土壌含水量の影響を受けるので、関連する主要因子による影響の定量化、モデル化が望まれる。
◆陸域生態系を対象とする場合、地域性も含め極めて多様であり、森林系、草原・農耕地生態系、土壌圏それぞれで固有の観測方法、解析方法が必要とされるなど、チャレンジングな課題であると思われる。これら多様な要素を扱うそれぞれの分野からの成果を十分統合することは重要と思われるが、統一されたデータ処理方法が確立されていない点などは、今度の適切な対応が望まれる。
◆書かれているものを見る限り、良くマネージされていて、科学的にもしっかりした研究をしているように見えるが、本当にこれが必要最小限のチームであるかどうかが疑問である。ひとつひとつのテーマを学術的興味で追求するより、サブグループそれぞれのパーツを他の、トップダウンアプローチ、社会科学的アプローチと組み合わせることで行政目的にかなう具体的成果を挙げることを目標とすべきである。
◆●いずれのサブテーマとも精力的な成果発表がなされている点で評価できる。
●サブテーマ(1)では、タワーフラックス観測と地上調査を通じて寒帯から熱帯までアジア地域の代表的森林生態系における炭素収支の実態を体系的に調べており、大きな成果が期待される。しかし、共通の研究目的が「炭素収支の定量評価」でありながら、サブサブテーマごとに解析項目への力点の置き方が異なっているように思われる。勿論、個々の発想は重視されるべきであるが、それぞれの地域の結果を総合した「森林」という観点から大きく取りまとめる必要はないか。
●森林土壌を中心に扱うサブテーマ(3)はサブテーマ(1)と緊密に連携してゆく必要がある。高山観測サイトにおけるNEP推定では、特にこのことが感じられる。
●サブテーマ(4)では、観測サイトによりデータの品質等に違いのあることを見出している。データの計算や補正の方法は改良段階にあるとしているが、デーマⅠの全体取りまとめ役として処理方法の早急な確立に努めてもらいたい。
◆所期の成果があがっている。科学として新規性を含んでいる。このまま継続すべきである。
◆具体的な成果が得られている点を評価したい。
◆1)本研究では、地上データ、リモートセンシング、モデルの3者の統合による炭素収支研究に関して、実に明確なシナリオ作りが必要
2)このためサブテーマ(4)では地上データのリモートセンシング手法ばかりでなく、モデル手法への検証の方向に向けて研究を進める必要がある。
◆微気象学的方法によるCO?フラックスの測定データがグループ間で精粗の違いが目立つ。それゆえ、生態系間でのフラックスの違いが、生態系そのものに起因するものなのか、測定法の違いによるものなのか、理解に苦しむ(例えば、老山と苫小牧の呼吸のQ?値が大きく異なること、桐生での呼吸フラックスの著しく高い値など。)関係者間でデータの突き合わせを含む測定法の検討を行い、統一した方法のもとでの測定体制の確立が必要である。
◆・森林生態系、草原農耕地生態系、土壌圏夫々における炭素収支の実測とシミュレーション解析における問題点、解決すべき課題が明らかになりつつある。
・ボトムアップ的手法による地上観測データベースの構築と解析は所期の成果を挙げている。
・衛星リモートセンシングデータの品質に関わる問題点の指摘は今後の当該研究の方向に大きな示唆を与えると予想される。
◆難しい土壌の炭素についても、より信頼性の高い計測方法とモデルを呈示しており、成果を期待する。ただし、炭素シンクの持続性を考えるときCだけでなく、N、Pの計測を特に草地、水田などでは行うべきでないか。
◆・遷移過程など、個々の植性の間の相互関係のメカニズムを明らかにするにも、ボトムアップを更に進める必要があると思われる。
・統一されたデータ処理方法を進展させることが今後望まれる。
'◆サイト別の仕事が統一の基準でなされていないような印象をうけた。スケールアップの戦略を明確化されたい。
◆トゥルースデータとしてこれまで欠落していた研究項目、”樹木の根”に対するブルークスルーとなるものを見い出してもらいたい。
◆サブテーマ(3)のプレゼンテーションは、非常によかった。問題意識と方法論、成果の位置付けがよく整理されて説明してくれたからだ。ただし、サブテーマによっては必ずしもよくないものもあった。
◆ヒアリングの際のいろいろなコメントを考慮して進めること。先へ進める基礎的、定量的データを取得して欲しい。
◆ボトムアップ研究とトップダウン研究の統合化戦略を立ててほしい。
◆個々のサイトでの観測研究は良く行われていると評価する。最終的にアジア全域にスケールアップする戦略を明確にして欲しい。
◆土壌圏における炭素収支については手法、データのまとめ等について本プロジェクトならでの視点からのまとめが必要。
◆渦相関法での出力の意義付けが必要となる。(観測結果が何に使われるのかの精査)

地球環境研究総合推進費 中間評価(戦略プロジェクト) 評価結果
実施期間 課  題 サブ テーマリーダー
(平成16年度現在)
総合評価
(A~E)
研究成果の
科学的価値
研究成果の社会・
経済・行政的価値
研究成果の波及効果
及び発展性
研究代表者の
マネジメント
研究体制に
ついて
 
ヒアリング時の
説明の仕方
高く評価できる
サブテーマ番号
低い評価となる
サブテーマ番号
H14戦略
(14~18)
*中間評価*
(1回目)
S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究

Ⅱ.トップダウン(大気観測)アプローチによるメソスケールの陸域炭素収支解析
独立行政法人国立環境研究所
(井上 元)
A a a a a b a    
(評価コメント)
※①多様な評価コメントの中に、被評価者による今後の研究にとって有益な情報が含まれているであろうこと、②今後研究成果を科学や社会へ積極的に還元していく上で、研究に対する外からの見方や受け止め方の多様性を、被評価者に理解していただくことが有用であろうことを勘案し、右の評価ランクの結果と整合的でないコメントが含まれる場合もあることを承知の上で、各評価者からの多様なコメントを可能な範囲で列挙した。
 研究課題代表者は、評価ランクを評価者全体の評価結果として捉えた上で、全ての評価コメントの反映を目指すのではなく、各コメントの中で、今後活かすべき重要な指摘や示唆が何かを吟味・判断の上、今後の研究計画の見直し等に活用して欲しい。
◆研究の意識は理解できるが、残された研究期間で観測データの信頼性を高めていく可能性はあるのか。
◆有意義な研究と思う。シベリアのリスクを憂慮する。
◆海洋のCO2データを収集、蓄積する有効なシステム開発につながるよう期待する。
◆観測現地国での政府の方針変更への対応など、悪条件にもかかわらず観測システムの体制構築が全体として進展しており、今後の発展が期待される。インバーズモデルの開発では、炭素収支の誤差を抑えるのに適した測定点を選ぶアルゴリズムが地域規模で可能となるまでに高分解能化ができ、それによって観測地点が選定されたのは、今後に向け意義が高い。今後(1)と(2)の連携を密に進めることを望みたい。
◆全体のプロジェクトを支える重要なパートであり、良くデザインされている。これからの地球観測、モニタリングに欠かせない手法であるので、このプロジェクトで大きな成果を上げて有用性を実証してほしい。
◆●いずれのサブテーマとも精力的な成果公表がなされている点で評価できる。
●地球規模での観測体制を整備する際の指針となる地上観測ネットワークの最適配置を提唱できたことは大きな成果と言える。
●ロシア科学アカデミーなど権威のある研究機関が所有している土壌・植生データとはいえ、また最新のコンピュータ手法を駆使しているとはいえ、データベース構築にあたっての実地検証が必要ではないか。どの程度まで実施された結果によるものか。
●西シベリアにおける二酸化炭素フラックスのモデリングにあたっては森林火災による影響が大きいとされており、この問題を今度どのように取り込んでゆくのかを事前に検討しておく必要がある。
◆所期の成果があがっている。このまま継続してよい。
◆研究体制が整った段階と考える。
◆テーマⅠで実施している土壌、植生研究資源(科学的及び人的)とテーマⅡ(本研究)との具体的な連携が必要である。
◆西シベリアを測定対象地とした理由がもう一つよく理解できない。本研究は様々な制約のある西シベリアでないとできない研究とは思えない。むしろ地上での測定はⅠグループと共同で行った方が、データの蓄積も多く、効率的と考えられる。
◆・トップダウンアプローチはテーマⅠのボトムアップアプローチと相補的に炭素循環の全体像を精度良く把握する重要な課題である。
・西シベリアにおける観測拠点構築はロシア政府の対応遅れがあったものの計画に沿って進捗し始めている。
・現状はインフラ整備段階であり、今度の集中的なデータ取得と解析を通して、研究が可及的速やかに軌道に乗ることを期待する。
◆将来のGOSATの観測データ活用に対応する意味でも、今後の進展が期待される。観測地点の確保に少し手続き上の時間がかかったのはおしいが、それにもかかわらず体制構築が十分進んでいる。今後はインバースモデルの高分解能化を実現することを望みたい。
◆モデル自体の改善による精度向上も必要ではないか。海洋についても、もっと力点がおかれるべきではないか。
◆順調に推移している。
◆ボトムアップ研究との統合を積極的に検討してほしい。
◆シベリアから全球レベルにまで発展させてもらいたい。
◆ややシベリアプロジェクトの感じがする。そのテーマとしては閉じていて面白いが、全体課題の中のインバースモデル(トップダウンアプローチ)サブテーマとしては他テーマとの関係が薄い。
◆・観測拠点の設置、現地での運営に対するマネジメントにリーダーシップを発揮できている。
・当初の計画の遅れを十分認識して、今後2年間の研究計画の見直し、重点化が必要。
◆手法開発の段階ということであるが、地上タワーの観測網のデータとインバースモデルとの関連がよくわからない。本プロジェクトにおけるテーマⅡの位置付けはテーマⅢの陸域炭素収支モデル結果の検証ではないのか。

地球環境研究総合推進費 中間評価(戦略プロジェクト) 評価結果
実施期間 課  題 サブ テーマリーダー
(平成16年度現在)
総合評価
(A~E)
研究成果の
科学的価値
研究成果の社会・
経済・行政的価値
研究成果の波及効果
及び発展性
研究代表者の
マネジメント
研究体制に
ついて
 
ヒアリング時の
説明の仕方
高く評価できる
サブテーマ番号
低い評価となる
サブテーマ番号
H14戦略
(14~18)
*中間評価*
(1回目)
S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究

Ⅲ.アジア陸域生態系の炭素収支変動予測と21世紀の炭素管理手法の検討
北海道大学
(甲山 隆司)
A a a a b b b    
(評価コメント)
※①多様な評価コメントの中に、被評価者による今後の研究にとって有益な情報が含まれているであろうこと、②今後研究成果を科学や社会へ積極的に還元していく上で、研究に対する外からの見方や受け止め方の多様性を、被評価者に理解していただくことが有用であろうことを勘案し、右の評価ランクの結果と整合的でないコメントが含まれる場合もあることを承知の上で、各評価者からの多様なコメントを可能な範囲で列挙した。
 研究課題代表者は、評価ランクを評価者全体の評価結果として捉えた上で、全ての評価コメントの反映を目指すのではなく、各コメントの中で、今後活かすべき重要な指摘や示唆が何かを吟味・判断の上、今後の研究計画の見直し等に活用して欲しい。
◆3つのモデルを比較に目標とする成果を得るためには、相互にモデルを修正する必要が生じると考えられる。目標を達成するために求められるモデル間の調整はどのようになっているのか。
◆炭素循環モデルの国際比較と性能の改善は重要な課題の1つであるので、扱い難い側面もあるが、たとえば実務的負担が生じるときの予算的バックアップを考慮することも考えられよう。
◆重要なテーマであり、それぞれサブテーマでかなり成果を出していると思われるが、若干の疑問を呈したい。既存の陸域生態系炭素循環モデルの相互比較は意義があるが、それによって「予測モデルの開発」にどのように発展させるのか明示されていない。国際比較を進める上でも、当プロジェクトでのモデル開発の立場を明確にする必要があると思われる。
◆政策目的のための研究として、重要なパーツを担っており、興味深い成果を上げている。国際的な協調と競争によってわが国が炭素管理の面で国際貢献(およびリーダーシップの発揮)をすることが期待できる。衛星データ利用と、データベースの研究がこのサブテーマにも入っていることにやや違和感を感じる。
◆●いずれのサブテーマとも精力的な成果公表がなされている点で評価できる。
●新規データベース構築は当プロジェクトの成果として大きく期待されているものである。しかし、評価を受ける際の資料としては、”・・・に関するデータベースを構築した”と表記されても紙面だけでは不明なことが多く、今後は具体的に利用されている実態、使用時の問題点や改善措置などについて報告してもらいたい。
●地点レベルのシミュレージョンを高山サイトで行っているが、産業総合技術研究所の観測データを使用しており、1)何故、テーマⅠのサブテーマ(1)や(3)のデータを使用しないのか、2)一方、それらデータの使い勝手が悪いのであれば、何故、相互に調整しなかったのか、等の疑問が残る。
●サブテーマ(2)において多くのモデルに対する概念的整理は終わったと思われるので、一刻も早く高度に洗練され整合性の取れた最新モデルの作成に当たってもらいたい。
◆所期の成果があがっている。このまま継続してよい。苫小牧FRSの台風被害のリカバーをどうするか、リーズナブルな案を聞きたい。
◆テーマⅢを独立させる意義があるか?
◆テーマⅢは一部を除いてテーマⅠとの乖離が感じられる。テーマⅠの実測と連携したモデル構築への姿勢が強く望まれる。
◆モデルの検証を、高山だけでなく、Ⅰで得られている他のサイトでの測定データと比較し、必要ならば新なモデル開発も含めて、国際評価に耐え得るものにしていってほしい。
◆・GCPにおいても炭素循環モデルの相互比較とその高度化は重要な課題の一つとなっており、テーマⅢはS-1プロジェクトの中でも核となる課題を包含している。
・今後、重点的に実施されるグローバル規模でのモデル相互の比較・拡張の成果ならびに炭素収支モデルと衛星データ(リモートセンシングデータ)の評価研究の成果が期待される。
・報告内容から判断する限りサブテーマ(1)と(2)は統一しても良いように思われる。
◆コアとなる重要な研究である。
◆炭素循環モデルの国際比較を通じてモデルの改善を期待する。
◆テーマⅠ、Ⅱと連携してさらなる研究を推進してほしい。
◆既存の陸域炭素循環モデルには長所・短所があり、本プロジェクトではアジア域における適用の観点からそれらに対し、とくにSim-CYCEに対し、今後改善点を提示するような形で進められることを期待したい。
◆本プロジェクト全体の最も大切なアウトカムをつくる重要なテーマである、テーマ2(Topdown)とテーマ1(Bottomup)を連携する役割をテーマ3に期待されていると思うが、そのことがプレゼンで聞き取れなかった。
◆最終目標をどこにおいているのか、サブテーマ相互の関係、位置付けがわかりにくい。プレゼンテーションの仕方によるのかもしれないが、研究の道筋が戦略的に十分整理されていないように感じられるのは残念だ。
◆具体的成果が余り見えない。
◆サブテーマ(1)、(2)をまとめる重要な課題である。最終的に全体をどうまとめるかがポイントとなるであろう。
◆サブテーマ(2)の国際比較と高度化ならびにサブ(4)の総合予測モデル化の開発はS-1プロジェクトの核となる成果を導出することが期待される。
◆テーマⅠ、テーマⅡとの連携の具体的戦略(フレームワーク)を明示すべき。その期待を込めて、総合評価をaとした。

地球環境研究総合推進費 中間評価(戦略プロジェクト) 評価結果
実施期間 課  題 サブ テーマリーダー
(平成16年度現在)
総合評価
(A~E)
研究成果の
科学的価値
研究成果の社会・
経済・行政的価値
研究成果の波及効果
及び発展性
研究代表者の
マネジメント
研究体制に
ついて
 
ヒアリング時の
説明の仕方
高く評価できる
サブテーマ番号
低い評価となる
サブテーマ番号
H14戦略
(14~18)
*中間評価*
(1回目)
S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究

Ⅳ.プロジェクトの統合的推進と情報の共有
筑波大学
(及川 武久)
A b b a a b a    
(評価コメント)
※①多様な評価コメントの中に、被評価者による今後の研究にとって有益な情報が含まれているであろうこと、②今後研究成果を科学や社会へ積極的に還元していく上で、研究に対する外からの見方や受け止め方の多様性を、被評価者に理解していただくことが有用であろうことを勘案し、右の評価ランクの結果と整合的でないコメントが含まれる場合もあることを承知の上で、各評価者からの多様なコメントを可能な範囲で列挙した。
 研究課題代表者は、評価ランクを評価者全体の評価結果として捉えた上で、全ての評価コメントの反映を目指すのではなく、各コメントの中で、今後活かすべき重要な指摘や示唆が何かを吟味・判断の上、今後の研究計画の見直し等に活用して欲しい。
◆将来の研究に役立つデータベースへ発展してほしい。
◆この評価シートの書式で評価することは、相応しくないが、このサブテーマは本S-1研究には必須であり、有効と思われる。(他の研究プロジェクトでもこのようなサブーテーマが望まれることもある。)
◆非常に多岐にわたるサブテーマを統合する上で様々な工夫や企画により活動が進められている。今後一層の進展を期待したい。
◆このようなデータ管理システムが特にこの分野では困難であったように思うが、本プロジェクトでこれを重要視して取り組んでいることは高く評価したい。この仕事の重要性はこれから先ますます増すと思われるので、将来的に行政に引き渡せるようにきちんとしたものをつくってほしい。その点、総括班的活動では無くて、実働部隊をつけることも考えた方が良いのではないか。
◆15年度の活動を通じて、それまで不十分であった課題担当者間、試験サイト間での連携・情報交換が深まりつつあると報告されている。しかし、個別テーマごとの報告内容をみると、課題担当者の個性・専門性が強調され過ぎているようにみえる。個々の研究者の発想こそが研究のブレークスルーに重要であることを誰も否定するものではないが、当プロジェクトが目指す大きな目標を達成するためには、各分野からのデータを持ち寄らせ/相互に検討させる等、共通基盤上での統合化に向けて調整機能を発揮することが必要である。こうした中で、全体の課題代表者がテーマリーダーを努める当テーマの指導力に期待する。
◆S-1プロジェクトのような包括的なテーマを推進するのに情報を共有するのは当然のことで、それ自体に高い科学的価値があるとは評価しにくい。しかし、プロジェクトを効率良く進め、成功に導くには極めて重要なことで、計画に沿ってしっかり実行することを期待したい。ともすれば壁ができがちな研究グループ間で、こうした情報共有に踏み出したことは高く評価したい。
◆共有情報の整備拡充に更に力を傾注してもらいたい。
◆データの共有化となり、必要な研究と考えられる。
◆本テーマにおけるデータ共有のためのデータベース構築は意義がある。しかし、プロジェクトの総合的推進力のさらなる強化が特に必要と感じる。
◆本研究で得られたデータをデータベース化して、他の研究者に利用できるようにすることは極めて重要であり、使い易いデータベースの構築が望まれる。
◆・本研究テーマはS1プロジェクトの総合的管理機能を果たすものであり、本プロジェクト推進上、必要不可欠な作業を含むが、研究テーマの遂行という観点からは他の項目と基本的に性格が異なる。テーマⅢのサブテーマ(5)という位置づけもあるのでは?
・プロジェクト全体のデータの集積と共有化ならびに活用のための仕組みの構築は順調に推移していると判断できる。
◆共通のDB構築は極めて有用と思われる。国際的なプラットフォームに育つことを期待したい。
◆推進費の性格を考えれば、アドバイザリーボードメンバーを再考すべきではないか。
◆専属のデータ管理者を配置していることは有意義である。将来的にはテーマ3で扱う人間・経済のデータも一元化したDBとすることが必要だろう。
◆モデル・観測の比較・改良に力点をおいてもらいたい。観測そのものも十分量的に検討する必要がある。
◆研究成果も順調に上がっている。
◆モデリングには2つの側面がある。各研究課題の推進と各研究課題の統合化の2つである。前者の推進のためモデリングの適用をのぞむ。
◆類似のサブテーマの統合、集約化が今後2年間の進め方の中で必要ではないでしょうか。是非、重要課題を絞り込んで、限られた予算の有効活用を図られることを期待しています。