研究代表者名 建設省国土地理院 川口 博行
研究概要
IPCCの第二次総合報告書によると、2100年には約50cmの海面水位の上昇が予測されている。アジア太平洋地域の国々では、沿岸域の詳細な地形、植生、土地利用、海岸施設等に関する地理情報は、未整備または非公開であることが多い。このため、海面上昇の影響を最も強く受ける地域であるにも関わらず、面的な影響の予測及び評価を困難にしている。
本研究では、各種の地理的なデータが比較的得られ易いこと等からタイ国沿岸域を研究対象に選定した。研究の最終目標を、影響の総合評価ガイドライン(マニュアル)の作成及びタイ国におけるケーススタディでの個別の影響評価成果の統合化に置き、アジア太平洋地域の海面上昇の影響について適切な評価を行うための足がかりとすることを目的とする。
課題全体の総合評価
- 対象としているアジア太平洋地域は、地球温暖化による多大な影響がでることが予測されているが、この分野での研究が不足しており、その意味で本研究による成果は高く評価できる。
- 特に、脆弱性評価手法の開発は、世界的にもみても評価できるものである。
その他
- タイ国のみを対象としてガイドライン等一般化を行っているが、少くとも日本のようにデータの完備した所を共に対象として、一般性、その妥当性をクロスチェックする必要があると思われる。他の地域への通用性等を検討する必要がある。
- 目的は非常に重要であり、その為汎用性、手法の通用可能性を強化した検討が必要と思われる。
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