第2節 一人ひとりの日常生活からの環境負荷と取組の効果

1 日常生活がもたらす環境負荷

 私たちの日常生活が与える環境負荷は、家電製品の利用、上水道の使用、使い捨て製品の購入等によるエネルギーや資源の消費といったように、私たち自身が目に見える形で与える環境負荷にとどまらず、製品やサービスを使用し廃棄に至るまでの、原材料や製品を加工、輸送する際の環境負荷も含め、全体としてとらえることが重要です。

日常生活における環境負荷

 ライフサイクルエネルギー(製品の一生涯で使用するエネルギー量)に着目し、日常生活における一年分の環境負荷を見てみると、冷暖房、照明の使用や自動車の運転等、製品の使用によって消費されるエネルギーが大きな割合を占めています。製品の製造段階で大きなエネルギーを要するものもありますが、耐用年数を考えて1年間あたりにすると小さなエネルギー消費量となる一方で、電気や洗剤等の使用等は1日におけるエネルギー消費量としては小さなものですが、1年分にすると大きくなります。
 また、昭和54年と平成6年のライフサイクルエネルギーを比較すると、工場等の省エネルギー化により製造時のエネルギー消費量は24%減少していますが、家庭での電気・ガス・石油の使用量が大幅に増加したことにより、全体で約5.5%増加しています。
 また、輸送に伴う環境汚染を考え、食料の生産地から食卓までの距離に着目した「フード・マイレージ(単位:トン・キロメートル)」という指標を見てみると、諸外国に比べて食料自給率の低いわが国は、食料輸入による環境負荷が大きくなっています。
 こうした私たちの生活の場から離れたところでの負荷を含め、日常生活からの環境負荷が地球規模での環境問題の原因になっていることを考えると、私たちは、日常生活の中で意識的に環境に配慮した行動をとっていく必要があります。

分類別ライフサイクルエネルギーの変化

輸入食料品のフード・マイレージ(1人当たり、試算)

2 日常生活における環境負荷の低減と具体的な効果「環のくらし」はこんなくらし

 私たちの日常生活の中で行える環境配慮行動にはさまざまなものがあります。

 例えば、衣食住においては、適切な冷暖房温度の設定、こまめな節電といった省エネルギーに向けた取組や、ごみの減量化やリサイクルといった省資源に向けた取組に加え、環境配慮型製品やサービスを選択する取組があります。また、余暇活動においても、エコツーリズム、環境ボランティア活動への参加といった豊かな環境の保全、創造につながる取組をすることができます。

 これらの取組の効果はさまざまですが、例えば、効果が小さくてもわが国の全世帯で10の取組を実施すると、わが国全体で約34.7百万トンの二酸化炭素が削減され、これは京都議定書の規定による基準年の排出量の2.8%に相当する量が削減されることになり、日常生活の何気ない行動の積み重ねが大きな効果を生み出すことになります。しかしながら、民生(家庭)部門からの二酸化炭素排出量が増加していることを考えると、二酸化炭素の削減に向けた日常生活における取組は十分な成果を得られているとはいえず、身近にできることから取組を始めることがますます重要となっています。

一人ひとりの地球温暖化対策

 

前のページへ   次のページへ