むすび


 この一年を振り返ると、21世紀の環境政策を方向づけるいくつかの大きな動きが見られました。平成12年6月には循環型社会形成基本法やグリーン購入法をはじめとする循環型社会関連法が相次いで制定、整備されました。12月には中央環境審議会における国の環境基本計画の見直し作業が完了し、「環境の世紀への道しるべ」と題する新しい環境基本計画が閣議決定されました。そして、13年1月には中央省庁の再編が行われ、環境省を中心とする環境政策の推進体制が整備されました。

 この環境白書は、組織体制が一新して再スタートを切った政府が初めてとりまとめた年次報告であり、まさに21世紀の環境政策が目指す具体的な方向を明らかにすることが求められています。このため、白書の記述のかなり多くの部分が新生環境省が中心となって推進していく今後の環境政策の基本戦略を明らかにするという役割を担っています。

 平成9年に開催された地球温暖化防止京都会議は、わが国が環境問題の国際史に直接的な関わりを持った代表的な出来事でした。議長国であったわが国としては、この会議でまとめられた京都議定書ができるだけ早期に発効するよう努めることが国際的な責務であるといえます。このためには、国内体制を確立しながら国際社会に効果的に働きかけていくことが成功の鍵となります。こうした課題を含め、地球環境問題への対処において国際社会に貢献していくことがわが国に求められる大きな役割の一つといえましょう。

 持続可能な社会への変革に向けた実績を示しながら、アジア太平洋地域などの途上国に役立つ政策提言や環境技術、環境情報を積極的に発信していくことによって、わが国は国際社会でリーダーシップを発揮していくことが望まれます。今回の白書における最も重要なメッセージは、世界に誇れる「環の国」日本の実現を目指していくことこそ、この21世紀にわが国の進むべき途であるということに他なりません。
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