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第1節 

2 廃棄物処理対策

(1) 一般廃棄物
 一般廃棄物処理施設の整備については、現在第六次廃棄物処理施設整備計画に基づき、新規施設の整備及び更新期を迎える既存施設の大量の建て替え等に対処しつつ、計画的な整備を推進している。同計画は、61年度から65年度までに総事業費1兆9,100億円をもって廃棄物処理施設の整備を推進することとしており、そのうち、1兆4,290億円が一般廃棄物処理施設の整備に当てられることとなっている。
 62年度においては総額689億円の補助金により、ごみ処理施設、し尿処理施設、埋立処分地施設等の整備を図った。
 また、モデル事業として行われている廃棄物運搬用パイプライン施設整備事業及び都市廃棄物処理管路事業に対して、それぞれ2億570万円及び2億580万円の補助を行った。
 厚生省においては、廃棄物の適正処理に関する調査研究等を実施した。
 また、通商産業省においては、62年度から三箇年計画で都市生活の健全化及び環境保全の一層の推進のため、ごみの高効率輸送と上水確保を同時に実現する新都市廃棄物輸送システムの開発を行っている。
(2) 浄化槽対策
 合併処理浄化槽に対する補助制度(合併処理浄化槽設置整備事業)を創設し、その整備を図った。また、厚生省に浄化槽対策室を省令室として発足させ、「浄化槽法」に基づく浄化槽の適正管理等を一層推進するとともに、「浄化槽の日」(10月1日)の制定等、設置者等に対する啓発活動を強化した。
(3) 産業廃棄物
 産業廃棄物については、依然として不法投棄等の不適正な処理がみられるとともに排出量の増大や質的な多様化を生じていることから、厚生省では62年8月より生活環境審議会廃棄物処理部会産業廃棄物専門委員会を開催し、産業廃棄物対策に関する長期的ビジョン及び当面の具体的措置について検討をはじめた。
 また、化学系廃棄物の相互作用及び適正処理技術に関する調査研究等を実施するとともに、人体に対する有害性が指摘されているアスベスト(石綿)を含む廃棄物について、環境庁とともに、関係者に対し、当面の処理方針を示した。
 なお、60年度における行政処分等の状況は、立入検査5万4,185件、報告徴収8,756件、許可の取消し又は一時停止37件、措置命令又は改善命令11件となっている。
 通商産業省では今後の産業廃棄物の処理及び再資源化対策に必要な各種の試験研究及び調査を行っている。また通商産業省においては、廃棄物の再資源化を促進するため、(財)クリーン・ジャパン・センターの実証プラント、散在性廃棄物、廃棄物交換、粗大ごみ等に関する調査研究等の各種の再資源化事業に対する補助を行った。なお、製造業(電気・ガス業を含む。)からの廃棄物の再資源化の状況は第4-1-6表のとおりである。


(4) 広域処理場整備の推進
 大都市圏域において、圏域を一体とした広域的な最終処分場確保の要請に対処するため、厚生省及び運輸省においては、広域的な廃棄物の埋立処分場計画(いわゆるフェニックス計画)の推進を図ってきた。大阪湾圏域においては、大阪湾広域臨海環境整備センターが広域処理場の位置、規模等を定めた基本計画に基づき、広域処理場整備事業に着手した。
 東京湾圏域については、関係地方公共団体等により廃棄物の広域処理について検討が行われており、厚生省及び運輸省においても調査を実施するとともに、62年4月に東京湾フェニックス計画の基本構想を関係地方公共団体等に提示した。厚生省においては中部圏及び北部九州圏についても基本調査及び基礎調査を行った。
(5) その他
 運輸省においては、港湾における廃棄物処理対策として廃棄物埋立護岸の整備に対する補助等を行っているが、62年度は、21港1湾において事業費約306億円(うち国費約81億円)をもって廃棄物埋立護岸の整備に対する補助及び広域処理場整備のための実施設計調査を実施したほか、廃油処理施設の整備に対する補助及び一般海域におけるごみ・油の回収事業を行った。
 環境庁においては、廃棄物の埋立処分地の跡地の管理に関する調査や有害廃棄物の処理技術評価に関する研究等を行った。
 さらに、建設省においては、環境保全に留意しつつ下水汚泥の緑農地利用、建設資材化等の資源化を図った。

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