5 浄化対策
(1) 河川等の浄化対策
河川の浄化対策として、主として自己流量の少ない汚濁河川に大河川等から浄化用水を導入し、流況を改善する浄化用水導入事業(荒田川、古川等)、汚濁の著しい河川水を礫間接触酸化方式等により直接浄化する事業(多摩川等)及び河床に堆積した有機物質を多く含んだ底質をしゅんせつし、悪臭等の汚濁源の減少を図る汚泥しゅんせつ事業(霞ヶ浦、隅田川等)を事業費71億5,900万円(直轄38億1,700万円、補助43億7,300万円)で74地区(直轄18地区、補助56地区)について河川環境整備事業(河川浄化事業)として実施した。
また、平常時の流量の少ない都市内の河川に清流を復活させるため、他河川からの導水、下水処理水の活用等による水量の確保と河川空間の整備を併せて行う「都市清流復活総合モデル事業」を創設した。
さらに、特に汚濁の著しい河川で、かつ水利用にとって適した水質となっていない河川を対象に、河川内に新低水路を整備し、河川浄化事業と併せて、流水の適切な保全を図る流水保全水路整備事業を江戸川等3河川で実施した。
(2) 河川流況改善等
我が国の河川は、年間を通じて流況の変動が著しく、洪水時には大量の流水が一時に流下するため、治水上の対策が必要となり、一方、渇水時には流水の減少により水利用及び水質保全に関し対策が必要とされる。このため、多目的ダム等を建設し、流水の正常な機能の維持と増進に努めるとともに、流況調整河川事業による浄化用水の導入を併せて実施している。
61年度までに完了した建設省所管のダム建設事業は279であり、62年度においては、新たに12事業を加えて合計301事業を実施し、積極的に流況を改善し豊かな水環境の増進、取水の安定化及び河川水質の保全を図ることに努めた。
さらに、既設ダム貯水池の機能を保全するため、淀川・室生ダム等4ダムにおいて水質保全のための貯水池曝気のパイロット実験を行った。
(3) 沿岸海域の浄化対策
?廃棄物等の浮遊たい積等により効用の低下している沿岸漁場又は内水面漁場の機能回復を図るため、都道府県等が行う廃棄物除去等の漁場復旧事業及び総合的な漁場保全対策を行う漁場クリーンアップ事業(8ヶ所)に助成するとともに、?沿岸漁場整備開発事業の一環として、水質又は底質の悪化により機能が低下している沿岸漁場について実施するしゅんせつ、耕うん、作れい等の復旧事業(33ヶ所)に助成した。また、?赤潮対策として開発された技術を用い、漁場の富栄養化の抑止及び赤潮被害の防止を図る漁場環境改善に関するパイロット事業(2ヶ所)に助成した。さらに、?汚染の著しい海域においてヘドロの除去等を行うため海域浄化対策事業を市川海岸及び五井姉ケ崎海岸で実施した。