1 健全利用の推進

　昭和60年における自然公園の利用者数は約8億8,700万人に達し、10年前の利用者数と比較すると、約6,200万人の増加となっている。この数字が示しているとおり、国民の自然に親しむ欲求は徐々に高まりを見せている。これに適正に対応するためには、多様な自然環境を保全しつつ、自然環境の質に合わせた利用を積極的に推進することが要請される。
　61年度は、自然公園の健全な利用に資する施策を以下のとおり行った。
(1)　自然公園の適正な利用を図るため、2,000人の自然公園指導員を委嘱し、これらの指導員のボランティア活動により利用指導を行った。
(2)　各都道府県及び(財)国立公園協会の協力の下に7月21日から8月20日までの1か月間、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園等で、自然に親しむことを通じて、心身の健康の増進を図り、併せて自然愛護及び国土美化の精神を高めるため、自然に親しむ運動を実施し、その中心行事として、琵琶湖国定公園近江八幡地区(滋賀県)において第28回自然公園大会を開催した。
(3)　国立公園の利用の中心地区等において、野外活動指導者による各種野外活動の実地指導及び自然解説等を実施して、自然保護思想の普及啓蒙及び自然環境の適正な利用の推進を図った。
(4)　自然の中を歩き、国民の自然に対するふれあいを深め、自然愛護の精神の高揚と心身の健康の増進を図るため、各都道府県及び(社)日本歩け歩け協会等民間団体の協力のもとに10月に「第5回全国一斉に自然歩道を歩こう大会」を実施し、全国40都道府県の自然歩道で約2万7,000人が参加した。