5 国民参加による自然保護への取組
(1) ナショナル・トラスト(国民環境基金)活動の推進
イギリスの「ナショナル・トラスト」に示唆を受け、募金活動を通じ広く国民の参加協力を得て良好な自然環境を有する土地の取得、管理を行い、保全を図って行こうとするナショナル・トラスト(国民環境基金)活動は、現在、北海道斜里町の「知床100平方メートル運動」や和歌山県田辺市の(財)天神崎の自然を大切にする会の活動等全国各地において推進されている。
こうした活動は自然保護の充実を国民的な広がりにおいて図って行く上で有意義なものであり,更に普及、定着していくことが期待される。
このため、61年度には、自然環境保全法人(自然環境の保全のため良好な自然環境を有する土地の買取り、管理に関する業務を行うことを主たる目的とする公益法人)に係る税制上の特例措置として同法人に相続財産を贈与した場合について、当該財産に係る相続税の非課税措置を講じたほか、ナショナル・トラスト活動の指針としてのマニュアルを作成するため、民間主導型の活動について国民環境基金活動推進調査を行った。
なお、62年1月には、自然環境保全法人の第1号として(財)天神崎の自然を大切にする会が認定されている。
(2) 公益信託自然保護ボランティアファンドの設立
ナショナル・トラスト活動以外にも、国民の手による自発的な自然保護活動として、自然公園等における自然の保全、復元、利用者指導、野生生物の保護増殖等のボランティア活動が全国各地で行われている。これらの活動を支援していくため61年10月には募金型の公益信託の第1号として自然保護ボランティアファンドが設立され、今後その発展・充実が期待されている。