環境庁では、環境行政の長期的指針として、昭和52年に中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会の答申を経て、60年を目標とする環境保全長期計画を策定した。
しかし、近年、環境問題は、同計画策定時に比べ、経済社会条件の変化、環境に対する国民意識の変化などを背景として、一層複雑多様化しつつある。このような変化に対応しつつ、環境問題に対処していくためには、長期的・総合的視点に立って環境政策を進めていくことが必要である。
このような状況を踏まえ、環境庁では、21世紀に向け長期的視野に立った環境保全の新たな指針となるべき環境保全長期構想を策定することとした。検討のため、59年10月中央公害対策審議会に環境保全長期構想専門委員会を、59年7月自然環境保全審議会に自然環境保全長期計画検討小委員会をそれぞれ設置し、作業を進めてきた。この結果を踏まえ、環境庁は、61年12月5日両審議会に対し、「今後の環境保全のあり方に関する長期構想について」との諮問を行い、同日付けで答申を得、さらに12月9日付けで「環境保全長期構想」を決定した。
同構想は、12世紀を展望しつつ昭和60年代における環境政策を推進するための指針として、経済社会の展望と環境とのかかわりを踏まえ、今後の環境政策の基本的考え方及び環境政策の基本的方向を明らかにしている。