2 文化財の保護及び歴史的環境の保護

(1)　史跡、名勝、天然記念物の保護
　貝づか、古墳、城跡等の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いものは、文部大臣が、史跡に指定することができるとされており、59年度末現在、1,223件が指定され現状変更等が制限されている。また、史跡等のうち特に必要がある民有地を買上げて保存するとともに、当該遺跡の性格、内容に応じた整備等の保護事業(補助事業)を行っている。60年度は、史跡等の買上げとして多賀城跡附寺跡(宮城県)等158件、史跡等の保存修理として大阪城跡(大阪府)等185件について補助を行った。
　飛鳥、藤原地区については、史跡の買上げ整備、発掘調査等を実施している。
　平安宮跡については、現在約131haが特別史跡に指定されており、38年度以来国費による買上げを行うとともに、奈良国立文化財研究所が発掘調査及び整備を行っている。60年度は0.6haの買上げを行い、予定の約97%を国有化している。
　庭園等の名勝地、動植物、地質鉱物等で鑑賞上又は学術上価値の高いものは、文部大臣が、名勝又は天然記念物に指定することができるとされており、59年度末現在、名勝245件、天然記念物913件が指定されている。
　文化庁では、近年の開発進展による、天然記念物である動植物の減少に対処するため、天然記念物の保護増殖事業等(補助事業)を実施している。
(2)　古都における歴史的風土の保存
　古都において歴史的意義を有する建築物、遺跡等が周囲の自然環境と一体をなして伝統と分化を具現、形成している地域を保存するため、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づき、京都市等6市1町において約1万3,000haの歴史的風土保存区域を指定し、更にこのうち、特に枢要な部分を構成している地域約4,227ha(36地区)を都市計画に歴史的風土特別保存地区として指定している。
　また、「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に基づき、奈良県高市郡明日香村において、都市計画に125.6haの第1種歴史的風土保存地区及び2,278.4haの第2種歴史的風土保存地区を指定している。
　歴史的風土特別保存地区においては、建築物その他の工作物の新築等歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれがある行為を、府県知事の許可に係らしめるとともに、土地の買入れを実施している。59年度末までに約243ha、60年度は約9haを買い入れた。また、買い入れた土地の歴史的風土の適切な保存を図るため、歴史的風土保存計画に基づいて行う施設整備に補助を行っており、60年度は5,050万円(事業費1億100万円)で土砂崩壊防止施設等を整備した。歴史的風土特別保存地区以外の歴史的風土保存区域においても、工作物の新築等の行為を府県知事への届出に係らしめる等の規制を行っている。