3 下水道整備
下水道は、都市の健全な発達と公衆衛生の向上を図り、良好な生活環境を確保するとともに、公共用水域の水質保全を図るために、欠くことのできない基幹的施設である。
第5次下水道整備五箇年計画において、公害防止計画及び閉鎖性水域における総量削減計画への対応、水質環境基準の達成、地方定住の推進、市街地等における浸水の防除及び生活環境の改善、湖沼等の自然環境の保全及び農山漁村の生活環境の改善等を目標とした下水道事業に重点を置いて下水道の整備を推進してきた。
第5次下水道整備五箇年計画の最終年度に当たる60年度においては、以下の施策を講じ、下水道事業の促進を図った。
(1) 下水道事業
60年度においては、公共下水道事業実施857か所、流域下水道事業実施84か所、都市下水路事業実施879か所、特定公共下水道事業実施4か所,及び特定環境保全公共下水道事業実施104か所で整備の促進を図った。この結果、60年度末における総人口普及率は約36%になる見込みである。
また、下水道の整備による公共用水域の水質保全効果に着目し、住民と清らかな水との結びつきを深めることを目標とした「カムバックアクアトピア構想」を20都市で推進するとともに、下水道未整備地域において、都市下水路雑排水対策モデル事業及び湖沼等における雑排水対策緊急モデル事業を8か所(新規4か所)で実施した。
さらに、60年度は、新たに、都市の住民のやすらぎや潤いのある生活へのニーズに応え、雪国での冬期の都市機能を維持するため、下水処理水を活用したアメニティ下水道モデル事業を4都市で実施した。
(2) 流域別下水道整備総合計画
流域別下水道整備総合計画の策定のため、59年度までに163か所の調査が行われており、60年度においては、庄内川等7か所の調査を実施した。流域別下水道整備総合計画は、59年度までに54か所について策定されている。
(3) 技術開発及び調査研究等
下水道事業の円滑な推進に資するため、下水処理施設及び管路施設の合理的設計法、下水汚泥の処理処分法、下水の高度処理と再利用、下水道施設の省資源・省エネルギー化、首都圏等における下水汚泥広域処理処分計画、小規模処理システム等の諸課題について調査を実施し、更に、バイオテクノロジーを活用した新排水処理システムの開発に着手した。
また、民間における新技術の積極的な活用等を図るため、高効率高脱水型ベルトプレス脱水機の評価を完了した。
(4) 日本下水道事業団
地方公共団体からの委託により終末処理場の建設事業等を実施したほか、下水道技術者の研修、技術検定、下水道に関する技術開発、試験研究等を行った。また、新技術評価のための調査を実施した。