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第4節 

2 土壌汚染関係対策

(1) 農用地土壌汚染防止対策
 58年度までの細密調査等により対策地域の指定要件に該当するカドミウム、銅、又は砒素が検出された地域は、126地域、6,710ヘクタールとなっている。このうち59年12月末日現在38地域、4,510ヘクタール(既指定解除地域は除く。)が対策地域として指定されており、30地域、3,100ヘクタールについて対策計画が策定されている。これらの地域においては、排土、客土、水源転換等を内容とする公害防除特別土地改良事業等の対策事業が実施されている。
 この対策事業及び県単独事業等が完了(59年度末完了予定を含む。)している面積は、2,690ヘクタールであり、基準値以上検出地域の40.1パーセントとなっている(表ア、イ)。
 なお、カドミウムを1.0ppm以上含む米が検出された地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、土地利用の転換、非食用作物の作付け等とともに、水稲を栽培する場合にも水管理の改善、土壌の改良等適切な措置が採られている。
 また、近年、再生有機質資材の農用地における利用が増加する傾向にあり、重金属等の土壌への蓄積が懸念されている。このため、暫定対策として「農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準」を設定し、土壌汚染の未然防止を図ることとした。


(2) 市街地土壌汚染防止対策
 近年、工場、試験研究機関跡地の土地利用の転換に際し、水銀等の有害化学物質が土壌中に検出される等市街地における土壌汚染が問題となっている。
 このため、59年度は大都市において土壌中の重金属類の賦存量等を把握するための「重金属類汚染実態点検調査」等を実施するとともに、昭和59年6月に設置した、「市街地土壌汚染問題検討会」において、市街地土壌汚染に対する暫定対策(対策を講ずる上での判定基準及び対策工法)等について検討した。
(3) 鉱害防止対策
 金属鉱業等においては、鉱害を防止するため、「鉱山保安法」に基づき所要の措置を講じている。しかし、金属鉱業等に係る鉱山の施設には、操業停止後も引き続き鉱害を発生するおそれがあるものが少なくないため、48年以後「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づき鉱害防止事業の計画的な実施に努めてきており、59年度中には、鉱害防止のため以下の措置を講じた。
 ア 休廃止鉱山に係る鉱害防止のため、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度により、当該防止工事の促進を図ってきている。
 59年度には、鉱害防止工事(堆積場の覆土植栽等)47鉱山、危害防止工事(坑口閉そく)400坑口、義務者不存在分坑廃水処理17鉱山、保全工事90鉱山、義務者存在分坑廃水処理43鉱山についてそれぞれ助成した。
 イ 金属鉱業事業団では、従来から、?使用済特定施設(使用を終了した坑道及び捨石又は鉱さいの集積場。)に係る鉱害防止事業に必要な資金(休廃止鉱山に係る鉱廃水処理に必要な資金を含む。)の融資、債務保証業務、?カドミウム等の重金属による土壌汚染農用地等について行われる客土事業費のうち、汚染原因者が負担する資金の融資及び債務保証業務、?鉱業権者等が積み立てる鉱害防止積立金の管理業務、?鉱害防止技術の開発のための調査研究業務及び、?地方公共団体の実施する鉱害防止事業に対する調査指導並びに設計及び工事管理等の指導支援業務を実施している。

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