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第8節 緑化推進運動への取組

(1) 緑化推進運動の展開
 58年3月総理府に設置された緑化推進連絡会議においては、緑化の一層の推進を図るために各省庁が従来から行っている施策を新たな観点から見直し、総合的かつ効率的に実施するとともに、民間の力を一層活用する方策を検討し、58年4月、地方公共団体、特に地域住民に密着した市町付(特別区を含む。)が主体となり、広く地域住民、民間団体等の参加を得て、全国的に幅広い緑化運動を展開することを内容とした「緑化推進運動の実施方針」を決定した。
 各都道府県及び市区町村においては、この実施方針を受け、各種記念植樹、緑化行事等録化運動の展開を図ったほか、関係各省庁においても、次のように国土緑化に関する普及啓発活動や緑化関連事業等を実施した。
(2) 「小鳥がさえずる森づくり運動」等の推進
 身近な場所に実のなる木等野鳥の好む樹木等を保全又は植栽し、野鳥の観察のための施設を整備することにより、野鳥の生息に適した環境の創出と野鳥に親しむ場の整備を図る「小鳥がさえずる森づくり」運動を実施することとし、各地方公共団体に対し参加を呼びかけた。
 また、緑化事業に充てる資金の民間からの拠出を図るため、(社)ゴルファーの緑化促進協力会の協力を得てゴルファーによる緑化協力金運動を推進した。
(3) 水と緑を活かしたまちづくりの推進
 地方都市整備パイロット事業の一環として、河川空間のもつ自然性、親水性等を考慮しつつ、河川、湖沼周辺の修景緑化や市街地の緑化、環境整備を実施する水緑都市モデル地区整備事業を56年度より実施している(58年度国費8,516万円)。58年度においては、群馬県館林市など5都市において事業を実施したほか、新たに青森県五所川原市など3都市を追加し、計画策定を行った。
(4) 学校環境緑化促進事業の実施
 大気汚染地域及び市街地域の公立義務教育諸学校の校庭等に植樹を行い、又は芝張を行う事業に対し国庫補助を行う学校環境緑化促進事業を、公立小中学校児童生徒の健康増進特別事業(58年度国費4億5,313万円)のメニューの一つとして実施した。
(5) 「緑と花で結ぶむらとまち」運動等の推進
 分収林制度等の活用により都市住民等広範な一般国民の参画による森林づくりを推進する「緑と花で結ぶむらとまち」運動を展開した。
 また、国土緑化の思想の高揚及び啓もうを図るため、(社)国土緑化推進委員会が行う全国植樹祭、全国育樹祭、都市住民を対象とした苗木と花の配布会等の開催、みどりの少年団の育成、みんなの森造成事業等の緑化運動に対し助成したほか、緑の羽根募金の積極的展開を図り、森林浴を推進した。
 さらに、緑に関する技術開発等を通じて緑化を推進するため、(財)日本緑化センターが行うモデル緑化パイロット事業、情報の収集と提供、技術者養成、調査研究等につき助成したほか、都道府県が行う緑化推進施設の整備、都道府県緑化パイロット事業及び緑化木の需給対策に対し助成した。
(6) 工場緑化等の推進
 工場敷地の緑化においては、工場立地法に基づき工場緑化に努めるとともに、都府県を通じ工場緑化のコンサルティング、研修会の開催、啓蒙普及書の配布等の指導を実施したほか、緑化等により環境の向上に顕著な功績のあった工場に対し通商産業大臣表彰を行った。また、緑地等の設置を行う工場について日本開発銀行及び中小企業金融公庫から融資を行っている。
 また、森林資源の保護等に寄与する古紙の回収利用の促進を図るため、古紙を利用した製品にグリーンマークを表示し、これを一定点数集めた幼稚園、小・中・高等学校に苗木を贈るグリーンマーク制度を(財)古紙再生促進センターを通じ、昭和56年度から実施している。
(7) 都市緑化の推進
 都市の緑化の推進については、緊急に講ずべき施策としてまとめた「当面の都市緑化の推進方策」に基づき、国民の都市緑化意識を高場し、国民が広く参加し得る緑化運動が全国的に展開されるよう以下のような施策を講じた。
? 4月から6月までを春季における都市緑化推進運動期間ととし、植樹運動、花の普及運動等の各種行事を行った。
? 10月の都市緑化月間において、都市緑化・都市公園整備推進全国大会及び同地方大会の開催、都市緑化に関する表彰等の各種行事を実施した。
? 緑に関する総合的な展示等を行う第1回全国都市緑化フェアを大阪府服部緑地において大阪府、(財)都市緑化基金の共催により開催した。
? 民間の録化活動の展開を図るため、(財)都市緑化基金・地方都市緑化基金の拡充等、みどりの相談所の整備、緑化協定の締結等を推進した。

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