前のページ 次のページ

第2節 

1 水道原水の汚濁

 水道水は、直接人の飲用に供されることから、安全であることはもとより、異常な臭味等がなく快適に使用しうるものでなければならない。水道の原水は、可能な限り清浄であることが望ましく、水道水の水道管理のうえからも、原水水質の保全は重要な課題となっている。
 水道では、水源の約69%を河川、湖沼等の表流水に依存しており、これらの公共用水域における水質汚濁が水道に与える影響は大きい。近年天然湖沼や貯水池における富栄養化により、藻類等が異常増殖することに起因して、異臭味水等の被害が生じている。また、従前は良質の水道水源と考えられてきた地下水の一部においてもトリクロロエチレン等による汚染の状況が明らかにされてきており、これらは水道にとって大きな問題となっている。このため、厚生省は水道水の安全性を確保するため、暫定水質基準を設定する等、水道におけるトリクロロエチレン等の対策を講じたところである。一方水道事業体等では、浄水処理の高度化等により対処しているが、原水の汚濁は浄水処理のみならず事業経営面においても大きな負担となっている。
 また、突発事故、工場排水、家庭排水等を原因とする水質汚染事故により取水や給水の制限又は停止等を行った水道数は、昭和56年度には66に上っておりここ数年間は横バイの状態が続いている。

前のページ 次のページ