前のページ 次のページ

第4節 

4 油濁損害補償対策

 我が国は、タンカーによる油濁事故が起きた場合の補償制度として、1969年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」(1975年6月発効。「民事責任条約」という。)及びこれを補足する1971年の「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約」(1978年10月発効。「国際基金条約」という。)の2条約を締結することともに、これら2条約を国内法化した「油濁損害賠償保障法」を50年12月に制定している。「油濁損害賠償保障法」は、タンカーから流出した油による汚染損害に関して
? 船舶所有者に無過失責任を課すこと
? その責任限度額を「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」による一般の損害に関する船舶所有者の責任限度額のほば2倍に引き上げること(トン当たり4万6千円。ただし最高48億3千万円を限度とする。)
? ?と?により船舶所有者に生ずる責任を填補するため、2千トンを超える油を輸送するタンカーに責任保険契約の締結を義務付けること
? 油濁損害の被害者は、国際基金条約で定めるところにより、以上の損害賠償制度では船舶所有者から十分な賠償を受けられなかった損害額について、国際基金に対し、補償の請求をすることができること(船舶所有者からの賠償金と併せて、一事故当たり最高約119億円を限度とする。)
 等を定めており、被害者保護の充実を図っている。
 また、油濁による漁業被害のうち、相当部分を占める原因者不明の油濁被害については、財団法人漁場油濁被害救済基金が実施する被害漁業者への救済事業(救済金の支給及び防除費の支弁)等に対して、引き続き助成を行った。なお、56年度における同基金の救済実績は、総件数54件、総救済額378百万円であった。

前のページ 次のページ