4 漁業被害
水質汚濁による漁業被害の態様としては、?水面の浮遊物、廃棄物のたい積等に伴う漁場環境の悪化及び漁具の損壊、?油濁、赤潮等の発生による水産生物の死滅、生育不能等、?重金属、PCB等の有害物質の蓄積、付着等による漁獲物の販売不能又は魚価低下、?油濁等による漁船及び漁具の汚れ、腐蝕等があり、このほか、最近では沿岸域の埋立て、しゅんせつ等による海底等の形状変化、砂利採取、ダム設置等に伴う濁水及び発電施設の設置に伴う取排水が漁場環境に与える影響や農薬による魚介類の被害等が問題となっている。
56年度において発生した水質汚濁等による突発的漁業被害は、都道府県の報告によると、発生件数が、374件(被害額不明177件)、被害金額は1472百万円である。
このうち、海面における油濁による漁業被害については、発生件数が105件で前年度(137件)よりやや減少しており、被害金額も418百万円で前年度(936百万円)よりかなり減少している。また、原因者不明の油濁は、発生件数105件のうち約7割を占めており、依然として高い割合を示している。
赤潮による被害は、発生件数25件、被害金額390百万円となっており、発生件数は前年度(42件)より4割減少しており、被害金額も前年度(1,444百万円)より減少している。
なお、水銀、PCB等による魚介類の汚染に関しては、56年度の水銀、PCB等の魚介類汚染状況調査の結果等により、汚染されていることが確認された水銀に係る13水域、PCBに係る5水域及びドリン系殺虫剤に係る7水域において、継続して漁獲の自主規制又は食事指導が行われている。