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第4節 

2 土壌汚染関係対策

(1) 土壌汚染防止対策
 46年度から55年度までの細密調査等により対策地域の指定要件の基準値を超える量のカドミウム、銅又は砒(ひ)素が検出された地域については、所要の対策を講ずることとなっており、57年1月末日までにカドミウム41地域、銅11地域、砒(ひ)素5地域の計48地域(重複を除く。)が対策地域として指定され、指定面積は約4,820haとなっている(参考資料20参照)。
 対策地域に指定された地域のうち対策計画が策定されたのは41地域であるが、これらの地域においては排土、客土、水源転換等の公害防除特別土地改良事業等が実施されており、このうち21地域(56年度末完了予定地域を含む。)については対策事業を完了している。
 また、その他の地域についてもカドミウム31地域、銅14地域、計42地域(重複を除く。)については、県単独事業等により手当済みとなっている。
 なお、カドミウム1.0ppm以上を含む米が検出された地域においては、「食品衛生法」に基づく成分規格に適合しない米が生産されることを防止するため、土地利用の転換、非食用作物の作付け等の指導を図るとともに、水稲を栽培する場合についても水管理の改善、土壌の改良等適切な措置を採るよう指導が行われている。特に休廃止鉱山関係地域においては土地改良事業等の抜本的な対策が講じられるまでの間の暫定対策として、カドミウム汚染米の発生を抑制するための土壌改良資材の投入を行う休廃止鉱山関係カドミウム吸収抑制土壌改良事業等を秋田県で実施している。
(2) 鉱害防止対策
 金属鉱業等においては、鉱害を防止するため、「鉱山保安法」に基づき所要の措置を講じている。しかし、金属鉱業等に係る鉱山の施設には、操業停止後も引き続き鉱害を発生するおそれがあるものが少なくなく、このため使用済みの坑道及び捨石又は鉱さいの堆積場に係る鉱害の発生の防止については、48年以後「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づき鉱害防止事業の計画的な実施に努めてきており、56年度中には、鉱害防止のため以下の措置を講じた。
ア 休廃止鉱山に係る鉱害防止のため、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度が設けられており、地方公共団体等が実施する当該防止工事に要する経費の一部を予算の範囲内において補助金として交付し、地方公共団体等の負担を軽減すること等により工事の促進を図ってきている。
 56年度には、鉱害防止工事(堆積場の覆土植栽等)47鉱山、危害防止工事(坑口閉そく)400坑口、義務者不存在分坑廃水処理17鉱山、保全工事90鉱山、義務者存在分坑廃水処理43鉱山についてそれぞれ助成した。
イ 金属鉱業事業団鉱害部門の拡充
 金属鉱業事業団では、従来から、?「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づく使用済特定施設(使用を終了した坑道及び捨石又は鉱さいの集積場)に係る鉱害防止事業に必要な資金(休廃止鉱山に係る坑廃水処理に必要な資金を含む。)の融資、債務保証業務?カドミウム等の重金属による土壌汚染が生じている農用地等について行われる客土事業費の費用のうち、汚染原因者が「公害防止事業費事業者負担法」に基づき負担する資金の融資及び債務保証業務?「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づき鉱業権者等が積み立てる鉱害防止積立金の管理業務?鉱害防止技術の開発のための調査研究業務及び?地方公共団体の実施する鉱害防止事業に対する調査指導及び指導支援業務を実施している。
 56年度は、技術調査研究業務の拡充(坑廃水処理技術の現場試験の実施)等を行い、このため所要の増員等を行って鉱害防止対策の充実を図った。

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