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第1節 

2 悪臭防止対策

(1) 悪臭防止法の施行状況
 「悪臭防止法」では、規制地域の指定、規制基準の設定は、各都道府県知事(指定都市の市長を含む。)に委任されているが、56年11月末現在で奈良県を除く46都道府県10指定都市で行われ、市町村数では504市607町77村23特別区となっており、全市町村数の約37%に達している。
 都道府県知事(政令で市区町村長に委任されている。)は、規制地域内の事業場の事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出が規制基準に適合しないことにより、住民の生活環境が損なわれていると認めるときは、事業場を設置している者に対して悪臭防止措置を講ずるよう改善勧告、更には改善命令を発することができることとされており、55年度中に実施された改善勧告は13件で、改善命令は0件である。
(2) 悪臭の評価方法の改善
 「悪臭防止法」では、現在ガスクロマトグラフ等の機器を用いて測定し、悪臭物質の濃度を規制する方法をとっているが、悪臭公害はその発生源が多岐にわたっていること、また、ほとんどの場合、低濃度の複合臭であることから、機器測定のみで悪臭物質を規制することには限界があると考えられる。
 これらの問題に対処するため、人のきゅう覚を用いる官能試験法の研究を進め、52年度に三点比較式臭袋法の試験方法をとりまとめた。そして、53年度から3か年計画で、悪臭発生源周辺において調査を行い、56年度は機器測定法及び官能試験法並びに住民反応との対比について比較検討を進めた。
(3) 有機溶剤系悪臭物質規制基準設定調査
 「悪臭防止法」では、アンモニア等8物質が悪臭物質に指定されその排出が規制されている。
 しかしながら、規制対象となっていないトルエン等の有機溶剤系物質に起因すると思われる悪臭苦情が例年相当数あることから、悪臭規制の強化を図るため、これらの物質の主要発生源である塗装工場等における実態調査を実施した。

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