5 浄化対策
(1) 河川等の浄化対策
河川の浄化対策としては、主として自己流量の少ない汚濁河川に大河川から浄化用水を導入し、流況を改善する浄化用水導入事業と河床に堆積した有機物質を多く含んだ底質をしゅんせつして、悪臭等の汚濁源の減少を図る汚泥しゅんせつ事業等を実施している。これらの事業の56年度の実施状況は次のとおりである。
ア 浄化用水導入事業等
56年度は、直轄事業として、荒田川、乙津川等8河川、補助事業で今川等4河川の事業を実施した。
イ 汚泥しゅんせつ事業
56年度は、直轄事業として、多摩川、霞ヶ浦等9河川、補助事業で大阪地区(神崎川等)、名古屋地区(新川等)、諏訪湖等57地区について事業を実施した。
(2) 河川流況改善
我が国の河川は、年間を通じて流況の変動が著るしく、洪水時には大量の流水が一時に流下するため、治水面での問題を発生させているが、一方、渇水時には水量及び水質の面で水利用上の問題を起こすことが多い。
このような状況を改善するため、多目的ダム等を建設し、流水の正常な機能を増進することに努めている。
55年度までに完了した建設省所管のダム建設事業は215であり、56年度においては、新規に14ダムの建設事業に着手し、継続事業と併せて288のダム建設事業を推進することにより積極的に流況を改善し、利水者の取水の安定化及び河川水質の保全を図ることに努めている。
(3) 沿岸海域の浄化対策
?廃棄物等の堆積等により効用の低下している沿岸漁場又は内水面漁場の機能回復を図るため、都道府県等が行う廃棄物除去等の漁場復旧事業(23か所)及び水域一帯にわたる廃棄物の回収、除去、処理等一貫した清掃を行うための試験調査事業(6か所)に対し助成するとともに、?沿岸漁場整備開発事業の一環として、水質又は底質の悪化により漁場としての機能が低下している沿岸漁場について実施するしゅんせつ、耕うん、作れい等の復旧事業(32か所)に対し助成した。また、?粘土粒子等の散布によるヘドロ底質改良技術及び生物的、物理的手法による養殖漁場の富栄養化防止技術の開発試験を引き続き実施したほか、?ヘドロのしゅんせつ除去に当たって必要とされるヘドロの堆積分布状況、堆積量、性状等の基礎資料を整備するための調査を燧灘、東京湾及び鹿児島湾において実施した。さらに、?汚染の著しい海域においてヘドロの除去法を行うため海域浄化対策事業を市川沿岸で実施した。