1 多国間及び二国間協力の推進
(1) OECDにおける活動
54年5月に開催された第2回の閣僚レベル環境委員会の「予見的環境政策に関する宣言」を踏まえ、OECD環境委員会では、「環境と経済」、「エネルギーと環境」、「化学品と環境」及び「環境の状況報告」を重点分野とする事業プログラムが推進されている。56年度においては、我が国としても、このような方向付けの下で積極的に活動に参画し、もって環境行政の一層の充実に努めていくこととしている。
(2) 国連における活動
国連環境計画(UNEP)は、事務局設置後9年目を迎えて、その活動も軌道に乗り、国際的な協力を得て数多くのプログラムを積極的に推進している。我が国は、環境の分野での数多くの経験と豊富な知見を有しており、このUNEPの活動においては、理事国の一員となるなど、国際社会の一員として積極的に貢献してきた。
今後とも「国際環境情報源照会制度」(INFOTERRA)、「ストックホルム会議後10年の環境の現況」等のプロジェクトの推進に積極的に寄与するとともに、環境保護法制の充実のための行動計画等への参加を図るなど、ESCAP地域で行われるプロジェクトの実施を通じて、これら地域との協力関係も一層深めていくこととしている。
(3) 条約等
「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(海洋投棄規制条約)、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)及び「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)については、いずれも55年中に批准を行ったが、国内体制の整備等を進めることにより、条約の履行に努めていくこととしている。
(4) 二国間協力
日米環境保護協力協定に基づく協力に関しては、第5回合同企画調整委員会を米国で開催するほか、同協定に基づく14のプロジェクトについて、情報交換等を引き続き推進する。
また、日独科学技術協力協定に基づく環境保護技術パネルに関しては、排水処理技術等の8つのテーマに取り組むこととしている。
(5) 日中渡り鳥等保護協定
「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」については、56年3月3日署名が行われたが、両国間での渡り鳥等の保護に関する協力を推進するため、同協定の早期承認を図ることとしている。