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第3節 

2 昭和55年度における地方環境情勢には握

(1) 行政管理庁の管区局等を通じた情報収集
 管内環境情勢の常時は握を行っている管区局等から、環境庁に報告された地方環境情報は、55年度累計で9,770件で、54年土の8,802件と比較して約11%増加しており、より国民に密着したきめ細かい環境行政の推進に広く活用されている。
 管区局等から報告された、これらの地方環境情報を主な類型別に整理すると、55年度は54年度に比較して、環境影響評価、水質汚濁、環境保全一般に関する情報が多くなっている。
 55年度の地方環境情報の類型別概要は次のとおりである。
ア 開発行為に伴う環境影響評価に関するもの
 本類型では、電源ダム立地計画、空港、港湾計画に関する情報が多いほか石油備蓄基地、し尿処理場、ごみ焼却場等の建設に関するものが多くみられた。
イ 大気汚染に関するもの
 本類型では、固定発生源や移動発生源による大気汚染の被害対策に関するもの及び大気汚染の特性等についての地方自治体の研究成果等に関するものが多い。
ウ 水質汚濁に関するもの
 水質汚濁については、各地域における合成洗剤の追及と粉石けんの使用推進に関するもの、有害物質や生活環境項目による汚濁被害及び監視や立入検査結果等の報告が多い。
エ 振動、騒音、悪臭に関するもの
 騒音では航空機に関するもの及び工場騒音やカラオケ騒音などの近隣騒音に関するものが多い。悪臭では畜産関係のものが多くみられた。
オ 廃棄物、地盤沈下に関するもの
 廃棄物関係では、55年度は散乱空カン問題が全国的傾向として特に多く報告されたほか、産業廃棄物の不適切な処理及び不法投棄、埋立処分地の確保に伴う地元住民の動向等が多く見られた。
カ 土壌汚染、農薬に関するもの
 土壌汚染関係では、地方公共団体によるカドミウム汚染田のの汚染米の精密調査に関するもの、農薬関係では瀬戸内海の魚介類のデイルドリン検出問題に関連した情報が多く報告されている。
キ 公害健康被害に関するもの
 「公害健康被害補償法」による認定審査及び健康調査に関するもののほか大気汚染地域における学童等の健康増進を目的とした各種の活動等に関する報告が多く見られた。
ク 自然保護に関するもの
 国立、国定公園、都道府県立自然公園の保護管理、鳥獣の保護、猟区の設定、天然記念物に生息調査等多様にわたっている。
(2) 環境モニターからの情報収集
 環境問題に対する国民の意見、要望などを全国的には握し、環境行政の施策の参考に資するため、全国的に環境モニターを配置しているが、環境問題に関する国民的意見等の重要性にかんがみ、55年度は新たに1,000人の増員を行い、現在、全国に1,500人の環境モニターを配置している。
 55年度における環境モニターの活動状況についてみると、次のとおりである。
ア 環境モニター報告
 環境モニターが、当面する環境問題についての意見や要望を、随時自発的に提言する随時報告は、55年度394件であった。また、環境モニターの体験、見聞の結果を、随時、自発的に報告する実態報告は287件に達しており、これらは、環境庁の貴重な地方環境情報として、関係各局部において各種施策の企画、調整に活用している。
イ モニター・アンケート調査
 55年度には、「空カン散乱の実態と散乱防止対策等について」のアンケート調査を実施した。これは、空カン散乱の実態と空カン散乱防止対策等国民の意識・行動をは握し、空カン散乱防止対策を検討する上での参考資料とするためのもので回収率は95.5%と高率であった。調査結果は公表するとともに、庁内に設置した「空カン問題検討会」における基礎資料として活用した。
(3) 資料の収集及び整理
 行政管理庁の管区局等及び地方行政監察局に配置されている調査官等を通じて収集した資料等の主なものは、次のとおりである。
ア 地方公共団体の環境保全施策(単独経費)調査及び環境行政機構等調査並びに地方環境年表の作成
 環境行政の推進に当たって地方公共団体が果たす役割の重要性にかんがみ、都道府県及び政令指定都市(10大市)の重点施策、環境行政気候等をは握するとともに、都道府県における主要な環境問題を経時的には握し、国及び地方公共団体の環境行政を総合的に推進するための基礎資料とするもの
イ 法令施行状況調査
 環境庁が各都道府県及び各政令指定都市に対して毎年度行う「大気汚染防止法」、「騒音規制法」、「振動規制法」、「悪臭防止法」及び「水質汚濁防止法」の施行状況調査を管区局等段階で取りまとめたもの
ウ 地方環境情勢の概要調査
 55年度における地方環境問題に関する情勢報告及び収集資料等のより一層の活用を図るため、これらを環境問題別、都道府県別に分類、整理したもの
エ その他
 都道府県等における公害又は環境に関する年次報告書の収集等
(4) その他の資料収集
 昭和55年度は、散乱空カンが環境美化の観点から全国的な問題として、提起された。環境庁においても「空カン問題検討会」を設置し、この問題について検討を進めたが、空カン散乱の実態、地方公共団体の対応状況等をは握するため、全国の3,278市(区)町村(東京都の23特別区を含む。)を対象に行政管理庁の管区局等を通じてアンケート調査を実施した。
 その調査結果は公表するとともに、庁内に設置した「空カン問題検討会」の資料として活用した。

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