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第2節 

1 カドミウム汚染に係る健康調査研究

(1) 健康調査
 昭和43年の厚生省見解によると、カドミウムは「イタイイタイ病」の原因のひとつであるといわれている。
 このため、健康被害発生の未然防止の見地から、カドミウム環境汚染の要観察地域として、長崎県厳原等全国7地域を指定し地域住民の健康調査を実施している。
 また、要観察地域以外のカドミウム汚染地域においても同様の健康調査を実施している。(第6-2-1表)
 これらの住民健康調査を通じ、富山県神通川流域を除いてイタイイタイ病患者は発見されていない。また、これらの住民健康調査のうち、51年度から53年度にかけて実施された秋田県等7県の住民健康調査については、「イタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する総合的研究班」によって、54年11月に、「カドミウムによる環境汚染地域住民健康調査成績の解析および結果報告書」として、その調査成績のとりまとめが行われた。
 この報告書を受けて、環境庁はカドミウム汚染と近位尿細管機能異常との因果関係について、さらに、詳細な調査・研究を進めている。また、54年度より神通川流域住民を対象として行っている住民健康調査を55年度も引き続き実施し、カドミウム汚染に係る健康影響の解明に努めている。


(2) イタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する研究
 51年12月に発表された「カドミウムの人体影響に関する文献学的研究」においても指摘されているとおり、イタイイタイ病の原因及びカドミウムの人体影響については、なお未解明な事項もある。このため、環境庁においては「イタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する総合的研究班」に委託して、次の如き、各種の調査・研究を実施し、その解明に努めている。
? 大型動物(サル)を使用したカドミウムの長期微量投与実験
? カドミウム環境汚染地域住民にみられる低分子蛋白尿などの徴候についての臨床医学的意義や発生機序に関する研究
? カドミウム中毒の特異像の研究
? イタイイタイ病認定患者の予後の改善や発生の未然防止等の研究
? カドミウム環境汚染地域住民等の病理学的検察

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