1 現況

　我が国では、高度経済社会の形成過程において都市地域への人口、生産の集中及び急激なモ―タリゼ―ションが進展した。自動車保有台数の推移を見ても、昭和35年度に約350万台だったものが、54年度には3、730万台と10倍以上の伸びを示しており、特に乗用車の伸びは著しいものがある(第4-3-1図)。現状においては、依然としてモ―タリゼ―ションの進展は衰えを見せていない状況にあり、また、我が国における自動車保有構造の特徴の一つとして、欧米諸国に比して貨物車の比率が高いこともあって、特に交通量の多い幹線道路を中心とした道路周辺地域において自動車事故に起因する深刻な騒音、振動等の公害が生じている。自動車騒音について、当該地域の騒音を代表すると思われる地点又は騒音に係る問題を生じ易い地点について、自動車騒音の実態をは握するため、54年中に都道府県及び市町村が実測した3、582測定点の測定結果で見ると、騒音の環境基準を達成している測定点は608点(全測定点の17.0%)、また、要請限度(騒音規制法第17条第1項の限度)を超える測定点は782点(同じく21.8%)となっている(第4-3-2表)。なお、測定場所、測定期日等は、年によって必ずしも同一でないため、単純に比較することはできないが、区域の区分別、時間の区分別に環境基準の達成状況の経年変化を示すと、第4-3-3図のとおりであり、第1種区域を除き、54年の環境基準の達成状況は、53年とほぼ同様の傾向を示している。
　また、54年の環境基準の達成状況及び要請限度の超過状況を区域の区分別に見ると第4-3-4図のとおりであり、住居の用に供されているため静穏の保持を必要とする第2種区域において、特に環境基準の達成率が低く、1、674測定点中、環境基準を達成している測定点は97点、5.8%、要請限度を超過している測定点は565点、33.8%となっている。また、時間の区分別に見ると第4-3-5図のとおりであり、3、582測定点中、夜間は、環境基準を達成している測定点は、1、640点、45.8%とその割合が高いが、逆に要請限度を超過している測定点も、605点、16.9%とその割合が高くなっている。
　なお、騒音レベルの時間の区分別上位測定点は、ほとんどの場合、2車線の幹線道路に面しており、特に、夕方と夜間については、いずれも2車線の道路に面している。