1 土地利用の適正化
国土地用計画は、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、長期にわたって安定した均衡ある国土の利用を確保することを目的として策定されるものであり、国土の利用に関する行政上の指針となるものである。
昭和51年5月に閣議決定された国土利用計画(全国計画)を受けて、昭和55年度末までに44道府県において国土利用計画(都道府県計画)の策定をみている。また、国土利用計画(市町村計画)の策定については、都道府県を通じて引き続き指導するとともに、指導に要する経費の助成を行った。
土地利用基本計画は、土地取引の規制、開発行為の規制、遊休土地に関する措置等を実施するための基本となる計画であり、土地取引に関しては、直接的に、開発行為については個別規制法を通じて間接的に規制の基準としての役割を果たすもので、これにより公害の防止、自然環境の保全、国土の保全等に配慮しつつ適正かつ合理的な土地利用が推進されることとなっている。
土地利用基本計画には、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の五地域区分の図面表示と土地利用の調整等に関する事項が定められている。
当初の土地利用基本計画は、国土利用計画法施行後直ちに土地取引規制等の運用を行う必要があることから、国土利用計画(全国計画、都道府県計画)の策定を待たずに、個別規制法による規制現況を基礎として作成されたものであり、いわば暫定的な性格を有するものとなっていたが、国土利用計画(都道府県計画)の策定のほぼ終了したので、これを基本として土地利用基本計画について所要の見直し作業を行っている。既に見直しの終了した道府県の成果も含めた土地利用基本計画の概要は以下のとおりである。
(1) 五地域区分の指定状況
土地利用基本計画の五地域の指定状況(55年12月末現在)は、都市地域約923万ha(国土面積の24.8%)、農業地域約1,771万ha(同47.6%)、森林地域約2,547万ha(同68.4%)、自然公園地域約524万ha(同14.1%)、自然保全地域約8万ha(同0.2%)となっており、五地域のいずれにも含まないいわゆる白地地域は約26万ha(同0.7%)となっているが、各地域の重複している地域があるため、五地域と白地地域とを単純に合計した面積は約5、799万haのなり、国土面積の約1.6倍となっている。
(2) 土地利用の調整等に関する事項
土地利用の調整等に関する事項については、各都道府県とも土地利用の原則、五地域区分の重複する地域における土地利用に関する調整指導方針を記載している。またこれに加えて、土地利用上配慮されるべき公的機関の開発保全整備計画を記載している道府県があるが、その計画数は253件(55年12月末現在)となっている。
なお、土地利用基本計画に記載された開発保全整備計画は、土地利用転換の内容、土地利用計画との関連、環境保全対策との関連等について検討が行われており、計画段階における土地利用調整、環境保全対策に十分配慮されたものとなっている。