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第5節 

2 対策の実施

 「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」の円滑な達成に資するため、政府は51年3月5日に音源対策及び障害防止対策等の基本的事項を定めた「新幹線鉄道騒音対策要綱」を閣議了解した。この要綱ではまず、音源対策が騒音の防止又は軽減を図る上で最も基本的な施策であることにかんがみ、これを強力に実施するとともに、既設新幹線鉄道、工事中新幹線鉄道及び新設新幹線鉄道について、移転補償、民家防音工事の助成等の障害防止対策を実施することとし、更に沿線地域の有効適切な利用を図っていくこととしている。
 日本国有鉄道はこの対策要綱及び前記振動対策についての勧告に基づく運輸大臣の通達を受けて、51年11月「新幹線鉄道騒音・振動障害防止対策処理要綱」を含む「新幹線鉄道の騒音振動対策」を策定し、これに基づき、音源対策、振動源対策、障害防止対策を実施している。これまでの音源対策の実施状況は第4-5-3表のとおりであり、振動源対策としてはレールの重量化、バラストマットの敷設等を推進している。また、音源・振動源対策として、レールの波状摩耗、タイヤフラットの除去など軌道及び車両の保守管理の強化を図っている。
 障害防止対策については、前記処理要綱において、沿線地域における当面の障害防止対策の方針として騒音レベルが80ホン以上の区域に所在する住宅、騒音レベルが70ホンを超える区域に所在する学校・病院等及び振動レベルが70デシベルを超える区域に所在する住宅及び学校・病院等に対して防音工事、防振工事あるいは移転工事の助成等を実施することとしており、昭和54年12月末までの実施状況は防音工事11,464戸、移転工事426戸となっている。
 前述の「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」においては、既設新幹線鉄道沿線のうち80ホン以上の区域については、53年7月までを目途として環境基準が達成され、又は維持されるよう努めるものとされている。音源対策は既ね当面の目標に達したものの障害防止対策の実施については当初必ずしも進展を見なかったが、その後関係市町村及び住民の理解と協力が得られかなりの進展が図られた。
 また、今後建設が予定される整備五新幹線については、54年1月の運輸省通達「整備五新幹線に関する環境影響評価指針」に基づき日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団において、環境影響評価の作業を進めている。

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