4 漁業被害
水質汚濁による漁業被害の態様としては、?水面の浮遊物、廃棄物の堆積等に伴う漁場環境の悪化、漁具の損壊、?油濁、赤潮等の発生による水産生物の死滅、生育不能等、?重金属、PCB等の有害物質の蓄積、付着等による漁獲物の販売不能又は商品価値の低下、?油濁等による漁船、漁具の汚れ、腐蝕等があり、このほか、最近では農薬等による魚介類の被害、沿岸域の埋立て、しゆんせつ等による海底等の形状変化、砂利採取やダム設置等に伴う濁水及び発電所からの温排水が漁場環境に与える影響等が問題となっている。
53年度において発生した水質汚濁による突発的漁業被害は、都道府県の報告によると、発生件数が405件、被害総額は8,568百万円(被害額不明178件)である。
このうち、油濁による漁業被害については、発生件数(149件)、被害額(3,709百万円)いずれも前年度より大幅に増加している。この発生件数149件のうち、原因者不明のものは、79%で依然として高い率となっている。しかし、赤潮による被害は、発生件数(41件)で前年度を上回ったものの、被害額(4,473百万円)で、やや減少している。
なお、水銀・PCB等による魚介類の汚染に関しては、53年度の水銀・PCB等の魚介類汚染状況調査の結果等により汚染されていることが明らかにされた水銀に係る14水域及びPCBに係る9水域において、既に漁獲の自主規制又は食事指導が行われている。