2 工業立地の適正化
産業公害の抜本的な解決を図るためには、工業立地の適正化を図ることが必要であり、54年度においては、「首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律」及び「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律」の厳正な運用等により、大都市地域における工場の新規立地の抑制を図った。
また、「工業再配置促進法」及び同法に基づき定められた「工業再配置計画」に基づき、移転促進地域から誘導地域への工場移転及び誘導地域における工場の新増設の促進を図った。
なお、このような工場再配置対策の実施に当たっては、誘導地域における工場の設置が公害の防止等環境の保全に十分配慮して行われるよう指導するとともに、工場移転については、移転跡地が公園緑地等都市環境の改善に資する用途に利用されるよう配意した。
更に、工場立地の適正化を図る上では個々の工業立地についても、公害の防止等環境保全に万全を期する必要があり、49年3月に施行された「工場立地法」並びに同法に基づき生産施設、緑地及び環境施設の敷地面積に対する割合並びに環境施設及び工場周辺の生活環境の悪化をもたらすおそれがある施設のレイアウト等の基準を定めた「工場立地に関する準則」に従い、工場環境整備対策の推進を図った。また、特に、大規模な工場が集中して立地すると予想される地区等については、いわゆる重合汚染の防止を図るため総合的な事前調査に基づく周到な公害防止対策を講じることが必要であることにかんがみ、53年度に同法に基づく「指定地区」として指定した鹿島、大分の2地区について工場立地の際の事業者の判断の基準となるべき事項の公表を行い工場立地の適正化に努めた。
なお、工業団地における緑地等の環境施設の整備、管理のための施設、設備等に要する経費を補助するとともに、日本開発銀行等から環境整備のための融資を行う等の助成措置を講じている。