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第1節 騒音・振動対策

(1) 騒音・振動対策一般
 騒音対策について、地域ごとの騒音削減のモデルプランを作成することにより、地域ごと、、段階ごとに計画的な騒音削減を図るための調査を昭和53年度から行っており、54年度はモデル都市を選定し、土地利用状況から環境騒音を予測するため調査を行うこととしている。
 また、騒音規制改訂検討調査については、引き続き、工場騒音発生状況及び道路と建設作業との複合騒音についての調査並びに低騒音機器の開発状況の調査を進めることとしている。
 なお、近年、大きな問題となってきている近隣騒音については、54年度より、騒音の原因となっている家庭用機器の低騒音化の可能性、建築構造の遮音性の向上等について実態を調査し、対策を検討するほか、騒音防止に関する知識の普及、啓蒙を図ることとしている。
 このほか、騒音の聴力に及ぼす影響についても、引き続き、調査・研究を行い、クライテリアの検討に資することとしている。
 「振動規制法」の円滑な施行を図るため、振動規制技術マニュアルとして、53年度の建設作業振動編に引き続き、54年度は道路交通振動編を作成し、都道府県等の担当者による適切な振動防止指導に資することとしている。低周波空気振動については、51年度から、実態調査及び生理的影響等に関する実験研究を実施しているが、54年度は引き続き、その影響に関する調査研究を進めるとともに、53年度から引き続き、当面、緊急に行うべき防止対策についての調査を行うこととしている。
 通商産業省においては、54年度中に織機及び合成樹脂製造用射出成形機する騒音・振動防止技術指導書を作成することとしている。
 振動と騒音の複合による生理的影響に関する研究については、54年度は住民反応の調査を行うこととしている。
 騒音・振動の測定に関しては、従来から実施してきた測定機器等の購入に関する市町村等に対する補助を行って、測定体制の強化に資することとしている。
(2) 自動車騒音・道路交通振動対策
 自動車交通に起因する騒音等の公害対策としては、自動車構造、交通規制、道路構造等の面からの諸施策の総合的推進が必要とされるところである。
 自動車本体からの騒音については、51年の中央公害対策審議会の答申に基づく、第1段階の規制が54年規制として実施されており、更に、答申に示された第2段階目標値についても、所要の技術評価を引き続き行う。
 交通規制については、警察庁において、自動車交通総量の削減等を図るため49年度から実施している都市総合交通規制を引き続き推進することとしている。
 道路構造の改善等については、建設省において、遮音壁、環境施設帯の設置、有料の自動車専用道路の周辺における住宅防音工事等の助成を促進するとともに、幹線道路周辺における緩衝建築物に対する助成等を内容とする沿道環境整備事業を一層推進することとしている。また、53年度を初年度とする第8次道路整備五箇年計画において道路の周辺地域における生活環境の保全に十分配慮するとともに、沿道における環境整備を総合的に推進するための施策を検討することとしている。
(3) 航空機騒音対策
ア 公共用飛行場周辺
 「航空機騒音に係る環境基準」の速やかな達成を図るため、引き続き、発生源対策、空港周辺対策等を推進することとする。
 民家防音工事、移転補償の事業については、対前年度比65%増の758億円の予算を計上しており、特に、民家防音工事については、その内容を大幅に充実強化し、現行の2室までの防音工事を家族数に応じ最高5室まで行う(いわゆる全室防音工事)とともに、その対象区域を指定する場合の基準となる値をWECPNL85から80に改め、これに伴い同区域の見直しを行う。
 また、引き続き発生源対策として、低騒音大型機の導入、騒音軽減運航方式の開発、促進等を図ることとしている。
 このほか、空港周辺における計画的な街づくりを促進するため、空港周辺整備機構又は地方公共団体が実施する空港周辺整備事業について、助成制度の充実強化を行うこととしている。
イ 防衛施設周辺
 自衛隊等の使用する飛行場についても、「航空機騒音に係る環境基準」の速やかな達成を図るため、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」を中心に周辺対策を推進することとしており、54年度においては学校、住宅等の防音工事及び移転補償等の事業を行うため、対前年度比22%増の約683億円の事業費を計上している。
 また、引き続き音源対策、運航対策に努めることとしている。
(4) 新幹線鉄道・振動対策
 新幹線鉄道・振動対策については、現在実施中の発生源対策及び障害防止対策を更に推進するとともに、引き続き技術開発を総合的かつ計画的に推進することとしている。53年度から始められた東北新幹線鉄道小山地区の総合試験線(約43km)における騒音、振動の発生源対策の総合的な検討を引き続き行い、その成果を効果的に使用することとしている。
 また、今後建設が予定される整備五新幹線鉄道については、「整備五新幹線に関する環境影響評価指針」に基づき日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団において、環境影響評価を実施することとしている。
 在来鉄道騒音・振動については、環境庁において50年度から52年度にかけて実態調査を実施するとともに、53年度から騒音・振動の各種防止対策及びその効果、費用等の技術評価について調査しているが、54年度も引き続き調査することとしている。

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