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第1節 

5 慢性ひ素中毒症

(1) 土呂久における慢性ひ素中毒症
ア 沿革
 宮崎県土呂久地区における慢性ひ素中毒症に関する経緯は、次のとおりである。
 46年11月 土呂久鉱山周辺についての環境調査及び社会医学的調査の実施
 47年7月 慢性ひ素中毒症と思われる者7人が認められる旨の報告
   8月 宮崎県による医療救済措置の実施
   10月 医療救済措置を受けた7人と住友金属鉱山株式会社との間で県知事の補償あっせん(第1次補償あっせん)成立
 48年2月 救済法による地域指定
 49年2月 救済法による被認定者5人につき県知事の補償あっせん(第2次補償あっせん)成立
   12月 救済法による被認定者10人につき県知事の補償あっせん(第3次補償あっせん)成立
 50年5月 補償法による被認定者23人につき県知事の補償あっせん(第4次補償あっせん)成立
 51年3月・5月 補償法により48人を認定
   10月 被認定者のうち37人につき県知事の補償あっせん(第5次補償あっせん)成立
イ 現状
 52年9人、53人に10人がそれぞれ補償法により新たに慢性ひ素中毒症と認定され、この結果、48年2月の地域指定以降救済法及び補償法によって認定された者は、54年3月末現在109人(うち死亡者10人)となっている。
 これまでの被認定者累計109人のうち、77人については住友金属鉱山株式会社との間に県知事の補償あっせんが成立しており、その他の被認定者(54年3月末現在32人)については補償法による補償給付の支給が行われている。
 なお、50年12月、51年11月、52年12月及び53年3月には県知事の補償あっせんを受けた者等からそれぞれ住友金属鉱山株式会社を被告として損害賠償請求訴訟が起こされている。
(2) 笹ヶ谷における慢性ひ素中毒症
ア 沿革
 島根県笹ヶ谷地区における慢性ひ素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
 45年  笹ヶ谷鉱山周辺におけるひ素の環境汚染を島根県が確認
 47年7月〜11月 住民健康調査の実施
 48年8月 上記調査に基づき、慢性ひ素中毒症と思われる者7人、疑いのある者5人、要経過観察者19人が認められた旨の報告
 49年7月 救済法による地域指定
   7月〜8月 救済法により16人を認定
イ 現状
 52年に2人、53年に1人が補償法により慢性ひ素中毒症として認定され、この結果、49年7月以降救済法及び補償法によって認定された者は、54年3月末現在20人(うち死亡者3人)となっている。

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