前のページ 次のページ

第3節 

7 その他の対策

(1) 水銀・PCBに係る底質除去対策
 水銀に係る底質汚染については、48年度に行った底質調査の結果によると水銀を含む底質の暫定除去基準値を超えたものが27水域あり、また49〜51年に行った底質調査においても新たに7水域において暫定除去基準値を超えていた。これらの調査及び地方公共団体が独自に行った調査を総合した結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で42水域となったが、このうち53年3月末現在、底質の除去等の対策を終了した水域は酒田港(山形県)、徳山湾(山口県)等の33水域、対策を実施中の水域は大江川(名古屋市)、水俣湾(熊本県)、等の5水域であり、その他名古屋港(名古屋市)等の4水域については速やかに底質の除去等の対策が講じられることとなっている。
 また、PCBに係る底質汚染については、47〜51年度に行った底質調査の結果によると、PCBを含む底質の暫定除去基準値を超え底質の除去等の対策を講ずる必要があると推定される水域は71水域であり、これらのうち、53年3月末現在で対策を終了した水域は敦賀港(福井県)、高砂西港(兵庫県)等の51水域、対策を実施中の水域は田子の浦港(静岡県)等の4水域であり、その他の京浜横浜港(横浜市)、荒田川(岐阜県)等の16水域についても底質の除去等の対策の検討が進められている。
 なお、汚染底質の除去に当たっては、既に定めた「底質の処理・処分等に関する暫定指針」に従い、二次汚染が発生しないよう汚染物質等の監視を行いながら実施されている。
 また、53年度の底質調査においては、苛性ソーダ製造(水銀法)工場周辺水域、パルプ・紙製造工場周辺水域等について調査を実施しており、その結果問題水域があれば必要な対策を講ずることになっている。
(2) 農業用水水質汚濁対策
 農業用水の水質の動向をは握し、水質保全対策に資するため、農業被害発生地区のうち60地区について52年度以降、定点観測地点を設け、農業用水水質の常時監視を実施した。
 また、農村地域における水質保全対策を講ずるため、農業用水の水質汚濁が問題となっている地域の広域的な水質管理計画を作成するための調査を実施した。
 更に、緊急に被害防止対策を必要とする地区については、水源転換、用排水路の分離等を内容とする水質障害対策事業を引き続き実施した(53年度新規8地区、継続47地区)。
(3) 水産関係公害防止対策
 水銀、PCB等による魚介類の汚染状況及び沿岸水産資源開発区域の環境について調査を行うとともに、埋立て、温排水が水産資源及び漁場環境に与える影響についての事前評価の手法を確立するための調査を行った。
 また、公害による漁業被害の防止を図るため、全国に公害調査指導員を配置し漁場の監視に当たらせるとともに、漁場環境要覧図の作成、映画・テレビ等による啓蒙宣伝、油分除資器材の整備等を行った。
 更に、赤潮対策として、赤潮に関する情報交換事業及び赤潮発生の予察調査を行うとともに、漁場の富栄養化を防止するための各種技術開発試験、赤潮発生時における活魚避難施設の整備を行った。
(4) 被害救済対策
 被害漁業者救済対策として、引き続き、「水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法」等に基づき48年に行われた融通について利子補給を行うとともに、養殖共済の赤潮特約に係る掛金の一部について助成を行った。

前のページ 次のページ