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第2節 

1 水道原水の汚濁

 水道水の水質は、飲用に供されること等により人の健康に重大な影響を及ぼすものであるが、その水質の大部分は原水の水質により制約されるものであり、原水水質の保全は重要な課題である。
 水道では、原水の68%余りを河川、湖沼等の表流水に依存しており、公共用水域における水質汚濁が与える影響は少なからぬものがある。このため、各水道事業体においては、浄水技術の高度化、浄水施設の改善等に努めているが、水源の富栄養化による藻類等の異常発生に起因する異臭味水の問題等、通常の浄水技術では対処が困難な問題が増えており、原水の汚染は水道事業者にとって、管理運営上の大きな負担となっている。
 また、水質汚染事故により、取水源において、汚染物質が一時的に増加する場合には、単に取水の制限・停止にとどまらず、給水停止に至るなど、水道の利用者である住民の日常生活に影響を及ぼすこともあるが、その原因には、工場排水、突発事故、河川改修、農業排水、家庭下水、し尿処理水等があり、これらにより取水や給水の制限又は停止等の被害を受けた事業体数は、51年度には87事業体に上っている。

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