1 公害防止計画の策定状況
(1) 全国における策定状況
「公害対策基本法」第19条に基づく公害防止計画は、昭和45年に承認された第1次地域公害防止計画以降、52年に承認された第7次地域公害防止計画まで順次策定され、計画の統廃合、見直し等を経て、現在、第1-5-1表に示すとおり全国47地域について策定され、その推進が図られている。これらの計画の策定により、全国の主要な工業都市及び大都市地域が公害防止計画策定地域となっており、これらの策定地域が全国に占める割合は、面積で約10%、人口で約55%、製造品出荷額等で約70%となっている。
(2) 第1次及び第4次地域公害防止計画の策定指示および承認
52年度で計画期間が終了した第1次地域(四日市地域及び水島地域)及び第4次地域(富士地域、播磨南部地域、大竹地域、岩国地域及び大牟田地域)については、旧公害防止計画終了後において、なお新たな公害防止計画策定に必要性が認められたため、53年7月28日に内閣総理大臣から関係県知事に対して、基本方針を示して公害防止の策定が指示された。
関係県においては、それぞれの地域に係る基本方針に基づき公害防止計画の策定が進められ、「公害対策基本法」に定める手続に従い、公害対策会議の議(54年3月20日)を経て同日付けをもってそれぞれの公害防止計画について内閣総理大臣の承認が行われた。
これら7地域の概況は第1-5-2表に示すとおりであり、承認された7地域の公害防止計画の内容はおおむね次のとおりである。
ア 地域の範囲
これら7地域の範囲は、それぞれ第1-5-3表に示すとおりである。
イ 計画の目標
計画の目標は、第1-5-4表に示すとおりであり、各種防止施策の推進により、目標が全体として57年度を目途に達成されるよう努めるものとしている。
ウ 計画の期間
計画の実施機関は、53年度から57年度までの5年間としている。
エ 公害の防止に関する施策
事業者は、大気汚染、水質汚濁等の防止のための措置を講ずることとしており、また、地方公共団体等は、発生源等に対する各種規制、環境影響評価、立地指導、土地利用の適正化、中小企業対策等の施策を講ずるとともに、下水道の整備、緩衝緑地の設置、廃棄物処理施設の設置、学校等環境整備、河川・港湾しゅんせつ、導水、農用地土壌汚染対策等、監視測定体制の整備等の公害対策事業を実施することとしている(第1-5-5表)。また、公園緑地等の整備、交通対策、地盤沈下関連対策等の公害関連事業も併せて実施することにより、計画の総合的な推進を図ることとしている。
以上の公害の防止に関する施策を実施するために、計画期間内にそれぞれの地域で必要とする経費の見込額は、第1-5-6表のとおりであり、事業者が講ずる措置については、1,256億円、地方公共団体等が講ずる施策については、公害対策事業について3,594億円、公害関連事業について605億円、合計5,455億円と見込まれている。