昭和30年代後半以降の我が国における経済社会活動の急速な拡大は、国民所得の著しい増加をもたらし、我が国がかつてない物質的豊かさを享受することを可能にしたが、その過程で環境汚染の加速度的な進行がもたらされ、国民の健康がおびやかされるような状況が生じた。我が国の環境行政は、42年の「公害対策基本法」制定以来、このような事態に対処すべく急速に進展し、40年代の後半という極めて短い期間のうちに大きな成果を挙げることができた。本章においては、最近における環境の状況を概観することによって、これまでの環境政策の成果を振り返るとともに、今後の環境を明らかにすることとしたい。