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第5節 

3 森林の保全と緑化の推進

 森林の保全を図るため、森林計画制度の適正な運用により、地域の自然的、社会的、経済的条件を十分に勘案した適正な森林施業を図るとともに、林地開発許可制度の適切な運用、保安林制度の強化、森林病害虫等防除対策の推進、森林保全管理事業の推進、国土の緑化の推進等により森林資源の維持増強と森林の多角的機能の発揮を図っている。
(1) 森林計画
 木材の生産、国土の保全、水資源のかん養、自然環境の保全及び形成等の森林の有する多角的機能を総合的かつ高度に発揮させるため、森林計画制度の適切な運用を図るとともに、52年度に53年4月1日から68年3月31日までの15ヶ年間についての全国森林計画を樹立し公表した。
 また、国有林について全国森林計画に即して、53年4月1日から68年3月31日までの15ヶ年間について経営基本計画を樹立した。
(2) 林地開発許可制度
 林地の乱開発を防止し適切な土地利用を確保することを目的とした林地開発許可制度の適切な運用を図るため、必要な審査、監督等について指導助成を行った。
(3) 保安林
 保安林の指定面積は、51年度末現在で714万haであり、国土の保全、水資源のかん養、自然環境の保全・形成、保健休養の場の提供等森林の有する公益的機能が高度に発揮されるよう厳正な維持管理に努めた。保安林のうち、公衆の保健及び風致の保存を目的とする保健保安林及び風致保安林は約6万haであり、52年度においても引き続き保健保安林の拡充整備を図った。また、「保安林整備臨時措置法」に基づき、主として自然環境の保全・形成を目的とした保安林の計画的配備を進めるために、49年度から行ってきた第3期保安林整備計画の樹立を完了した。
 更に、都市住民の生活環境の保全・形成のため、引き続き生活環境保全林整備事業を実施し、保健保安林の買入(5ヶ所)につき助成するとともに、林相改良等の森林整備(62ヶ所)を実施したほか、保健保安林の基盤整備の一環として引き続き施設整備(20ヶ所)を行った。
(4) 森林の保全管理
 森林のもつ多角的機能の確保に資するための森林病害虫等の防除については、「森林病害虫等防除法」に基づき実施したほか特に、松くい虫については、新たに「松くい虫防除特別措置法」を制定し、防除効果の高い特別防除を緊急かつ計画的に拡充実施した。
 森林の適切な管理については、引き続き保安林地域、林野火災などの被害が多発するおそれがある森林レクリエーション地域等の森林について、森林の保全巡視を実施するとともに、林野火災予防施設等の整備を行い、また、火災危険期にポスター、バスステッカー、テレビスポットの放映等による林野火災予防思想の啓もう宣伝活動を全国的に実施した。
(5) 緑化の推進
 国土緑化思想の高揚啓もうを図るため、社団法人国土緑化推進委員会が行う全国植樹祭、学校植林、緑化用苗木の配布・記念植樹、森林愛護運動等の緑化運動に対し助成したほか、財団法人日本緑化センターが行うモデル緑化パイロット事業、情報収集、技術者養成、調査研究、修景開発等の緑化推進事業に対し助成するとともに、同センターの基金造成につき助成した。
 また、都道府県が行う緑化推進施設の整備、環境緑化木の需給対策に対し助成したほか、新たに、都道府県緑化パイロット事業及び昭和の森整備のための調査計画の作成に対し助成した。

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