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参考資料11 OECD環境担当閣僚会議宜言(1974年11月14日)

 環境政策に関する宣言
 OECD加盟国政府

は、
 人口の増加、工業化及び都市化が、環境の有限の受容能力及び限られた天然資源の賦存量にますます大きな圧力を加えていることを認識し、
 環境の質を国内的及び全世界的規模で保護・改善し、同時に経済発展を促進すべき責任を自覚し、またこれらの目標はそれぞれの国の経済の範囲で達成可能であることを確信し、
 この分野においてOECDが独自の貢献を成し得ることに留意し、
 1972年にストックホルムで開催された第1回国際連合人間環境会議で、これら各国が一致して賛同し、採択された宣言を想起し、次のとおり宣言する。
1. 環境の質の保全と漸進的な改善はOECD加盟国の主要目的である。
2. 環境の改善は生産物の量のみでなく、生活の質にかかわるすべての要素を考慮に入れた経済成長に対する新たなアプローチを反映し、促進するものでなければならない。よって、経済及び社会開発政策は、人間の福祉改善に対する均衡のとれた貢献を確保するため、健全な環境政策と緊密な関連を保ちつつ遂行されねはならない。
3. 人間環境の改善には、都市の諸問題を評価しこれに対処するためのより一層の行動を必要とする。
4. 既存及び新規のエネルギー源の開発、抽出、輸送、貯蔵、利用及びそれに関連する廃案物の処理は、他の稀少資源の場合と同様、環境の価値を保全する条件の下で行われなければならない。
5. 各国政府は、(i)無公害技術の促進、(ii)エネルギー及び他の稀少資源の保存、(iii)資源再利用努力の強化及び(iv)稀少な若しくは環境にとり有害な物質の代替物開発を助長することにより、環境を保護するよう積極約に努力する。* 加盟国政府には「欧州共同体」が含まれる.
6. 各国政府は、環境保護を助長し、国際経済上のゆがみを回避し、望ましい場合には環境政策の調和を助長するため、「汚染者負担の原則」及びその他 の合意を見た原則を引き続き遵守し更に精ちなものとする。
7. 各国政府は、越境汚染問題の解決を目指し連帯の精神にのっとり、この分野における国際法を更に発展させる意図をもって協力する。
8. 土地利用に関する計画を含む総合的な環境計画は、政府の政策の重要な要素となるべきである。
9. 将来の環境悪化を防ぐために、重要な公共及び民間の活動が環境に与える影響を事前に評価することは、国家的、地域的及び地方的水準に適用される政策の不可欠の要素となるべきである。
10. 環境の保護及び保全のための国際条約の批准及び実施並びに新たな条約の発展に特に注意が払われねはならない。
11. 各国政府は、OECD加盟国のうちの発展途上国を含めた発展途上国の特別な状況を認識し、上記の努力並びに他の国際機関及び他の諸国との協力を 実施し、拡大し、強化する。かかる協力に際し各国政府は環境改善に関するOECDにおける協力の成果をすべての国に対し直ちに提供する用意がある。

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