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第8節 

1 土地利用の適正化

 近年における人口、産業の大都市への集中に伴い、大都市地域においては、土地利用の混乱から生ずる環境の破壊、地価の高騰等が国民生活に著しい影響をもたらし、また、全国的には乱開発による自然環境の破壊が問題となり、更には昭和46年度以来のいわゆる過剰流動性などを背景とする土地の投機的取引の増大などによって地価が異常に上昇するという事態も起こり、土地利用及び土地取引の適正化が緊急な課題となるに至った。
 このような状況にかんがみ、国土利用計画及び土地利用基本計画の策定、土地取引の規制の強化、遊休土地の利用促進等を行うことにより、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする「国土利用計画法」が49年6月制定公布され、12月に施行された。
 国土利用計画は、国土の利用に関する行政上の指針となるものであり、その内容として、(1)国土の利用に関する基本構想、(2)国土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標及びその地域別の概要、(3)、(2)の事項を達成するために必要な措置の概要、について策定することとしている。
 土地利用基本計画は、国土利用計画の全国計画(都道府県計画が策定されているときは全国計画及び都道府県計画)を基本とし、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域及び自然保全地域の地域区分並びに土地利用の調整等に関する事項を内容とするものであって、これに基づき公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等の国土保全に配慮しつつ、適正かつ合理的な土地利用を図るための諸措置が講じられることとなる。
 また、土地取引に際しては、取引価格とともに、土地利用基本計画等による土地の利用目的に照らして、その適否を判断することにより、乱開発を未然に防止する等土地利用の適正化を図ることとしている。
 このため、49年度においては、50年度中を目途に、60年度を目標年次とする国土利用計画の策定作業を進め、また、都道府県においては全国計画が策定されるまでの間の当面の土地利用基本計画の作成作業を進めるとともに、「国土利用計画法」の的確な運用を行うための地方公共団体の執行体制の整備を行った。

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