(1) 公害防止事業団
48年度に引き続き事業規模を拡大することとし、820億円(前年度730億円)を計上して、企業等による公害防止施設等の整備の促進を図ることとしている。その内訳は造成建設事業220億円(前年度180億円)、貸付事業600億円(前年度550億円)となっている。
また、49年度の資金規模は773億円(前年度692億円)で、その財源としては、財政投融資資金603億円(前年度570億円)、政府補助金28億円(前年度22億円)及び回収金等142億円(前年度100億円)が見込まれている。
(2) 日本開発銀行
49年度においても引き続き企業の公害防止活動を積極的に促進するため、融資金額のうち公害防止枠について48年度の650億円を1,080億円に増額している。特に、ソーダ工業の水銀対策に万全を期すため、水銀法電解設備から隔膜法電解設備への転換を52年度末までに計画的に推進するため、49年度においては、苛性ソーダ製法転換緊急対策分として、366億円を計上ている(なお、北海道東北開発公庫においても40億円計上している)。
融資対象施設は、?公害予防施設、?公害防止施設、?工場環境整備があり、公害予防施設としては、低いおう化対策の推進、無公害生産設備の設置促進のため、イ 石油低いおう化、ロ 液化天然ガス発電、ハ 無公害工程転換の施設の設置に対し融資を行う。
公害防止施設は、公害の原因となる物質等を処理、処分する設備であり、イ ばい煙防止、汚水処理等、ロ 廃棄物処理、ハ 排煙脱硫、ニ 海水油濁防止について、これらの公害防止施設の設置に対し融資を行う。
(3) 税制上の措置
公害防止施設の設置の促進、公害防止費用の支出の円滑化等の公害防止対策の推進を図るため、税制上の助成措置が講じられているが、49年度においては、これらの制度の延長、拡充を図ることとしている。
ア 国税関係
公害防止に資するため、公害防止施設については、初年度2分の1の特別償却制度が設けられているが、このうち重油脱硫設備、産業廃棄物処理用設備のうち焼却装置について適用期限が到来するので、引き続き適用を延長するとともに騒音防止用設備の範囲に鍛造機用浮基礎を加える。
また、既存の生産方式が公害の発生を伴う場合において、その発生を抑止し又は著しく減少させる目的で新たに開発され、又は著しく改良された生産設備の開発普及を促進するため、無公害化生産設備に対する特別償却制度(初年度3分の1)が48年度に創設されたが、現在対象となっている無振動鋳型造型機の範囲を拡大することとする。
このほか、資源の再生利用を促進するため、廃プラスチック再生利用設備、大規模廃車処理用設備について特別償却制度(初年度3分の1)を創設した。
また、公害防止準備金制度の適用期限を2年間延長し、その対象業種を拡大した。更に金属鉱業等鉱害防止準備金の制度を新設した。
イ 地方税関係
公害防止施設等の設置の促進を図るため、特定の公害防止施設について固定資産税の減免措置が講ぜられているが、その適用対象を拡大し、鍛造機用浮基礎を騒音防止設備の範囲に加え、リース契約に係る公害防止設備について非課税の措置を講ずる。
また、廃棄物再生利用事業用設備に対する固定資産税を3年間2分の1に軽減する措置を創設する。
ウ 関税関係
重油脱硫減税制度、低いおう原油の関税軽減措置について適用期限が到来するので、引き続き適用を延長する。
また、公害防止用機械類等の免税制度を創設し、公害の防止に直接供する機械類で国産が困難なものについては、関税を免除することとする。