工場における公害防止体制を整備することが産業公害を防止するために緊要である。このため、46年6月、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が施行され、翌47年9月から特定工場において公害防止に関する業務を統括する公害防止統括者、公害防止に関して必要な専門的知識及び技能を有する公害防止管理者等の選任が義務付けられ、1万余の特定工場において、これらの者を中心とする公害防止組織の整備が図られている。
　公害防止統括者及び公害防止管理者等の選任状況は、都道府県の調査によると、47年度において公害防止統括者は9,200人、公害防止管理者は13,622人である。
　また、本法による公害防止管理者等の資格養成のためには、次のように公害防止管理者等国家試験及び資格認定講習が行われた。
(1)　公害防止管理者等国家試験
　通商産業省においては、公害防止管理者等国家試験を46年以降毎年実施しており、第3回の国家試験は、48年10月に実施し、受験申込者は約12万人で、合格者は29,947人であった。この結果国家試験による資格者の数は、延べ101,998人となった。これは、各企業はもとより、一般国民も公害防止管理者の制度に深い関心を有していることを示している。（第8-4-1表）。

(2)　資格認定講習
　公害防止管理者等の資格をとるためには、前述の国家試験に合格するほか、通商産業大臣をはじめとし、厚生、農林、運輸の各大臣が実施する講習又は指定する講習を修了する方法がある。
　この制度は、一定の資格を有する者が受講できるものであって、例えば技術士、熱管理士、ボイラー技士、毒物・劇物取扱責任者等の一定の技術資格を有する者又は公害防止に関する一定の実務の経験と一定の学歴を有する者に講習を受講させ、その講習を修了した者に対し、国家試験に合格した者と同様の資格を付与するものである。
　講習の修了者は46年度4,259人、47年度38,540人、48年度23,054人で合計65,853人である。