3 騒音、振動、悪臭
騒音、振動、悪臭に関する調査研究は、通商産業省、運輸省及び科学技術庁の各付属試験研究機関において防止技術及び測定技術の開発、評価基準の確立を目指して研究が進められている。
騒音、振動に関する研究は、通商産業省の研究機関において、各種の内燃機関等から発生する騒音の発生機構を解明して、効果的な消音器等の設計基準を確立するとともに公害を対象とした機械振動の効果的なしゃ断方法を求めるため、振動の地面伝ぱ機構を解明する等基礎研究を実施した。また、科学技術庁においては、航空機用ジェットエンジンの低騒音化を目指して、効果的な消音方法を確立するため、ファンエンジンから発生する騒音を高精度かつ詳細に解析してその特性を明らかにする等、エンジン消音に関する基礎的研究を積極的に推進した。運輸省においては、騒音に係る環境基準に対応する騒音規制の強化に際して必要な資料を得るため、自動車走行騒音の測定及び定置自動車騒音の拡散分布測定を引き続き実施するとともに排気消音器の改善による排気騒音の防止に関する実験研究を実施した。また、環境庁においては、騒音の人間の生理に与える影響あるいは学童の学習に与える影響等人体影響に関する研究、振動については、振動の生理的影響に関する研究等の委託研究を実施した。
悪臭の防止技術については、通商産業省においてメルカプタン、アミン等の悪臭を発生する工場、特に水産加工場を対象として、流動化法による脱臭装置を開発して脱臭効果の向上と処理費の低減化を図るため、前年度実施した小型流動層による燃焼実験の成果をもとに、中規模装置を試作してスケールアップに伴う問題点を究明した。また、高分子フィルムの有する空気と悪臭成分の透過性の差異による分離機能並びに高分子化合物の悪臭成分に対する選択吸着性等を利用して悪臭ガスを除去するため、高分子フィルムの空気及び悪臭成分の透過率、高分子粉末の悪臭成分に対する吸着性能、悪臭成分と反応する反応性高分子の合成及びその反応性等について明らかにした。また、環境庁においては、悪臭物質として既に指定されている5物質のほか追加指定すべき悪臭物質の測定等に関する研究等の委託研究を実施した。