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第1節 調査研究の総合的推進

(1) 総合調整
 環境汚染を除去し又は未然に防止するため、有効な対策を講ずるには、環境科学技術に期待される面が大きいが、環境保全に係る科学技術は、各種環境汚染のメカニズムの解明、人及び動植物への影響のは握、公害防止技術の研究開発等広範な分野にわたっており、しかも各種の研究分野が相互に密接に関連し合っているので、関係する研究機関、研究者の密接な連携のもとに総合的、一体的に調査研究を進める必要がある。
 環境庁では、このような観点に立って、関係省庁の環境保全関係調査研究費の見積り方針の調整により各省庁において実施する調査研究の総合調整を行うとともに国立試験研究機関等の試験研究費及び行政機関の試験研究委託費のうち公害の防止、環境の保全を主目的とするものについて環境庁に一括計上し、48年度の調査研究を実施した。
(2) 国立試験研究機関等における試験研究の推進
 48年度の国立試験研究期間等における試験研究は、当面する問題への対応のみならず、長期的視野に立って環境保全対策推進の基盤を確保するように配慮し、第7-1-1表の試験研究について、その推進を図った。また、問題が多岐にわたるため、特に総合的に実施する必要があり、しかも、行政上のニーズの高い試験研究については、各省庁間の組織的協力体制のもとに、次の8つの総合研究プロジェクトを編成した。
 総合研究プロジェクト
? 光化学スモッグ等都市型大気複合汚染防止に関する総合研究
? 無公害自動車の開発に関する総合研究
? PCB等新汚染物質の評価並びに汚染防止に関する総合研究
? 排水処理の高度化に関する総合研究
? 瀬戸内海等沿岸海域の汚染防止に関する総合研究
? 廃棄物の処理と資源化技術に関する総合研究
? 環境計画のシステム的手法の確立に関する総合研究
? 自然環境の管理及び保全に関する基礎的技術開発のための総合研究
 なお、48年度環境庁に一括計上した試験研究経費の対象は、11省庁が実施する84の試験研究課題である。


(3) 公害対策各種調査研究の推進
 環境庁においては、特に、環境庁所管行政の推進上重要な課題である各種規制基準の設定、環境汚染による健康影響、各種汚染物質の測定技術、環境汚染メカニズムの解明等に関する調査研究を実施した。
 また、見積り方針の調整並びに一括計上による総合調整後の緊急事案の発生等に機動的に対処するために、環境保全総合調査研究促進調整費を計上し、環境庁の行う総合調整事務の一環として、環境保全に係る調査研究の総合的な効果の発揮を図った。

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