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第3節 

5 国際協力の推進

 我が国の野生鳥類は、その約8割が日本とアメリカ、ソ連、中国、オーストラリア、東南アジア等の各国間を移動する渡り鳥で占められており、これを保護するためには、これら諸国との国際協力を推進することが不可欠である。また、絶滅のおそれのある鳥類についても、「世界の宝」という観点から国際協力を進めようとする気運が大きく盛り上がってきた。我が国としても、こうした要請に沿って、積極的に国際協力を進め、次の各条約に調印した。今度とも国際協力を推進するとともにこれに即応した国内の保護措置の充実を図ることが必要である。
(1) 日ソ渡り鳥等保護条約、日豪渡り鳥等保護協定
 47年に日米渡り鳥等保護条約が調印されたのに引き続き、日ソ渡り鳥等保護条約が48年10月モスクワにおいて、また、日豪渡り鳥等保護協定が49年2月東京において調印された。これらの条約の内容は、要約すれば次のとおりである。
ア 渡り鳥の捕獲を原則として禁止すること。
イ 絶滅のおそれのある鳥類の輸出入を規制すること。
ウ これら鳥類の生息環境の保全に努めること。
エ これら鳥類の保護を図るため、資料の交換、共同研究を奨励すること。
 付表で整理された日ソ間の渡り鳥は287種でその約8割が陸鳥であり、日豪間の渡り鳥は66種でその約9割近くが水鳥である。
(2) 絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約
 この条約は、48年2月ワシントンで76カ国が参加して作成したもので、我が国は48年4月これに署名し、批准のための準備を進めている。この条約は、国際取引によって絶滅の危機にある野生動植物を保護するため、その輸出入を規制しようとするものであり、絶滅の危険度の高いものについては、原則として禁止し、現在必ずしも絶滅のおそれはないが輸出入を規制しなければ絶滅のおそれのあるものについては、一定の条件のもとで輸出入を認めることとしている。

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