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環境白書の刊行に当たって

副総理 環境庁長官
三木 武夫
 ここに、第3回目の「環境白書」を発表いたします。
 環境庁が我が国の環境問題解決のため創設されてから早や3年の歳月が流れようとしています。振り返ればその発足の時期、大気汚染や水質汚濁等の環境汚染やこれによる健康被害など我が国の環境問題の発生は爆発的様相を呈していました。環境行政は、環境基準や排出基準の設定強化、公害健康被害者の救済など人の生命や健康を公害から護る対策に全力を挙げてきました。そして、各種公害規制の強化や公害健康被害補償法の成立などにより、新規に発生する汚染の未然防止や健康被害者の救済に関する対策は、前進しつつあるものと考えております。
 今後はこれら諸制度の運営に努力を傾けていく考えでありますが、同時に、我が国の環境問題を巡る情勢に、蓄積性汚染の顕在化、公共輸送機関の公害防止問題、あるいはエネルギー不足時代の環境対策など従来と形態を異にした環境問題が現れ、その解決に迫られております。
 今年度の「環境白書」は、我が国の環境問題が新しい局面を迎えたという認識のもとに、環境行政が、山積する諸問題に今後対処すべき方向に焦点を合わせて編さんいたしました。
 「きれいな地球、ひろがる未来」は、われわれ国民共通の願いであり、またその実現は国民全体の責務でもあります。この白書が、国民の皆様の環境問題に対する認識と国の施策に対する理解を深め、美しい日本を創造する一助となることを念願するものであります。
昭和49年5月

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