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第4節 

1 騒音対策

(1) 工場等騒音規制の強化
 工場および事業場ならびに建設作業に伴う騒音については、騒音規制法第2条の規定に基づく特定施設、特定建設作業を対象に規制が行なわれているが、法施行(昭和43年)以来現在までの社会情勢の変化等により、これら以外にも著しい騒音を発生する施設、建設作業が増えており、騒音に関する苦情、陳情は年々増加の傾向にある。このような状況に対処するため、48年度において未規制の施設、建設作業について騒音レベル、使用方法等の実態調査を実施し、その結果に基づき、特定施設、特定建設作業の追加等、規制の強化を図ることとしている。
(2) 自動車騒音対策
 近年、自動車騒音問題は、高速道路の建設等に伴う苦情、陳情の増加にみられるとおり、大きな社会問題となっている。
 このような事態にかんがみ、国においては、47年度において行なった自動車騒音の実態調査の調査結果等に基づいて、現行の自動車騒音の大きさの許容限度の改正強化を行なうこととしている。
 しかし、騒音に係る環境基準を達成するためには、発生源対策とともに道路構造の改善、交通規制の実施等を含めた総合的な長期騒音低減計画を策定する必要があるので、その前提として、自動車騒音の大きさの許容限度の長期低減方策を中央公害対策審議会に諮問するとともに、これと併行して、高速道路周辺の自動車騒音の実態調査等この長期低減計画の策定に必要な各種の資料収集を行なうこととしている。
(3) 航空機騒音対策
 公共用飛行場に係る航空機騒音対策については、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、学校病院等の防音工事の助成共同利用施設整備の助成、空港周辺の一定区域における住宅の移転補償等を行なうほか、テレビ受信障害対策事業の補助を実施するとともに、東京大阪両国際空港については、深夜における発着禁止時間帯の設定等の騒音規制措置を講じてきた。
 しかしながら、ここ数年来航空輸送需要の著しい増加に伴い、航空機の大型化・ジエツト化が進み、このため航空機騒音問題は、年々深刻化してきている。このような事態に対処するため、
ア 空港周辺対策として、周辺住民から航空機騒音をできるだけ遮断するという基本的考え方のもとに、空港周辺地域における緩衝緑地の造成などの空港周辺の再開発、整備およびこれらの整備を実施するための「空港周辺整備機構」の設立、民家の防音工事に対する助成等の対策を実施することとしている。
 このため48年度予算においては民家の防音工事の助成関係3億円を計上するとともに、大阪国際空港について、空港周辺整備機構を設立することとし、これに対する出資金7億5千万円、利息貸付金15億円、代替地造成事業の補助金3億円を予定している。
イ 音源対策として、国際民間航空機間(ICAO)で確立された騒音基準適合証明制度の国内法化を行なうほか現用機種のエンジンの改修等を促進するため従来にひきつづき国際的に協力を進めていくこととしている。
 また、防衛施設周辺における騒音防止対策については、従来の施策を強力に推進するほか、新たに個人住宅に対する防音工事の助成を実施することとしている。
(4) 新幹線騒音対策
 東海道新幹線、山陽新幹線の一部沿線地域については、騒音による被害が著しく看過しがたい実情にあるので、昨年末、環境庁は緊急に対策を講ずる場合における当面の指針を設定し、この指針を達成するよう運輸省に勧告した。これを受けて運輸省は国鉄に対し、次のとおり実施するよう指示した。
? 山陽新幹線については、防音壁の改良を48年度中に実施し、指針値を達成させる。
? 東海道新幹線については、防音壁の整備、鉄桁橋りょう部分の改良等の音減対策をおおむね50年度中に完了する。
? 適切な家屋の防音工事の基準の作成を目的とした技術的検討を行なうための実験調査を行ない、住居等の防音工事の助成、家屋移転補償に必要な制度等の整備を急いで48年度以降、騒音の著しい箇所から着手する。
? 病院、学校等は、特段の配慮をするほか、騒音対策上効果が認められる東海道新幹線の重軌道化、低圧配電回路の整備等を行なう。
 なお、これらに要する費用は今後約800億円と見込まれており、48年度については135億円が計上されている。

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